静脈経腸栄養
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24 巻 , 6 号
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特集:輸液フィルターの意義を考える
  • 石井 一成
    2009 年 24 巻 6 号 p. 1159-1162
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    輸液フィルターに求められる機能としては、微生物除去能、微粒子除去能、空気除去能があり、現在医療現場で使用されているインライン輸液フィルターは、孔径0.2μmの親水性メンブレンフィルターと疎水性メンブレンフィルターの組み合わせによって、これら3つの機能を有する構造になっている。この輸液フィルターをより安全に使用するためには、薬剤吸着や目詰まりなどを如何に回避するかを知っておくべきである。
  • 井上 善文
    2009 年 24 巻 6 号 p. 1163-1167
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    インラインフィルターを、感染予防目的に使用すべきかについての議論がある。0.2μmのフィルターも仮性菌糸を伸ばして増殖するCandida albicans の貫通を阻止できないという報告がある。これらの問題に対し、臨床をシミュレートした実験を行った。その結果、流入側が孔径の大きな多孔質層、流出側が孔径の小さい緻密層から構成された非対称膜から成るフィルターではCandida albicans の通過を阻止できないことを証明した。さらに、対称膜から成るフィルターは7日間、Candida albicans だけでなく、細菌の貫通も阻止できることを証明した。アミノ酸を含むTPN輸液が微生物増殖の良好な培地であることは明らかである。完全な輸液の無菌調製ができていない場合には、感染予防を目的としたインラインフィルターを使用することが、理論的にも適正な管理方法であると思われる。
  • 松原 肇, 矢後 和夫
    2009 年 24 巻 6 号 p. 1169-1174
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    TPN施行時の輸液フィルター使用は, 感染防止, 塞栓防止の観点から有用である. しかし, 薬剤によっては, 輸液フィルターに吸着され, 場合によっては, 治療に影響を及ぼす場合がある. 本稿では, 輸液フィルターへの薬剤吸着の機序, 考え方などについて述べる.
  • 中井 由佳, 徳山 絵生, 吉田 都, 内田 享弘
    2009 年 24 巻 6 号 p. 1175-1182
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    本特集では、種々の配合変化の中から、FDAからALERTが出されている、注射用セフトリアキソンナトリウム製剤とカルシウム含有製剤との配合変化に着目して、(1)カルシウム濃度、(2)温度、および(3)振とうの度合いが与える影響について、肉眼的・実体顕微鏡下の観察および光遮蔽型自動微粒子測定装置を用いた不溶性微粒子数 (以下、微粒子数と略す) 測定により評価した成果について述べた。
    10mg/mLの注射用セフトリアキソン生理食塩溶液10mLに最終のカルシウムイオン濃度が0.5、1、1.5、2、2.5mmol/Lとなるよう2%塩化カルシウム注射液を加え、薬剤が均一になる程度に緩やかに振り混ぜた後、20℃、25℃、30℃の温度条件下に保存した。混合溶液中の微粒子数を光遮蔽型自動微粒子測定装置により計測したところ、微粒子数はカルシウムイオン濃度と経過時間に比例して増加する傾向を認めた。混合直後では、すべてのサンプル中の微粒子数は日本薬局方 (以下、局方と略す) の許容範囲内であったが、混合1時間後では、すべての温度で、カルシウムイオン濃度2mmol/L以上で局方の許容微粒子数を超えた。配合変化に及ぼす温度の影響については温度が高いほど大きい粒子径の不溶性微粒子を実体顕微鏡下確認できた。逆に温度が高いほど微粒子数は少なかった。また、この事実は、沈殿物重量の測定結果と矛盾しなかった。また、振とうを与えることで微粒子数は有意に増加した。体内濃度を想定した1,000μg/mLの注射用セフトリアキソン生理食塩溶液10mLに最終のカルシウムイオン濃度が1.25mmol/Lとなるよう2%塩化カルシウム注射液を加えた溶液中の微粒子数の検討では、微粒子は有意に増加した。
    上記結果より、カルシウム濃度だけでなく、保存温度や振とうもセフトリアキソンとカルシウムの沈殿に影響を及ぼした。
  • 倉本 敬二
    2009 年 24 巻 6 号 p. 1183-1190
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    輸液フィルターの必要の是非が論じられてから久しい。不溶性異物による生体への有害反応が証明されているにもかかわらず、本邦臨床においてはコストとの関連を理由に輸液フィルターを使用しないで輸液療法 (栄養・薬物療法) が行われている場合も未だ見受けられる。本稿では不溶性微粒子による注射剤汚染の現実を通して日本薬局方の矛盾点並びに調製された輸液の不溶性微粒子汚染とそれらが静脈内投与された場合の体内分布についての検討結果を踏まえて輸液療法時のリスクマネジメントとしての輸液フィルターの必要性について述べる。
  • 千堂 年昭
    2009 年 24 巻 6 号 p. 1191-1197
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    輸液調製段階から患者に投与されるまでには、配合変化による結晶析出や不適切な手技さらに投与時間の遅れなど様々な異物汚染リスクが存在する。汚染異物が体循環血流内へ注入された場合には生体への有害作用が懸念される。本稿では、臨床現場において異物汚染が懸念される輸液処方を抽出し、微粒子汚染の事例と輸液フィルターによる異物回避対策について紹介する。先ず、エトポシド注射液を生理食塩水により希釈した際、5時間後には結晶析出が観察された事例である。この微粒子汚染輸液による生体への有害作用の指標として、静脈より体内へ入った異物は先ず肺を通過することを想定し、ラットにおける肺浮腫の重篤度により評価した。析出結晶を含むエトポシド調製液をラットに静脈内投与した結果、肺における血管透過性の亢進および肺浮腫が発現した。しかしながら、輸液フィルターを介した場合、このような肺障害を引き起こすことはなかった。したがって、輸液フィルターは異物汚染が懸念される輸液療法においては安全性の向上のために使用が推奨される。
原著
  • 可児 富子, 入山 圭二
    2009 年 24 巻 6 号 p. 1199-1205
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    【目的】身体計測が血清ビタミン濃度を反映しうるかについて検討した。
    【対象及び方法】消化器外科手術患者20 名の術前と手術侵襲からの回復期に各身体計測及び8 種類の血清ビタミン濃度を測定し、両者の関連について検討した。
    【結果】身体計測は回復期で全て有意に減少した。回復期で有意に低下した血清ビタミンはビタミンA及びB2、フラビンアデニンジヌクレオチド、ニコチン酸であり、ビタミンB12と葉酸は増加した。身体計測値と血清ビタミン値間には有意の正相関を認め、とくにクレアチニン身長係数 (CHI) と上腕三頭筋部皮下脂肪厚 (TSF) はビタミンB2、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチドと強い相関を示した。血清ビタミンB2が基準範囲下限値以上であると推定しうる身体計測値は、CHIは約77~84%以上、TSFは約12~13mm以上であった。
    【結論】身体計測値のうちCHIとTSFはビタミンB2、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチドの血清値を反映する指標になりうる可能性が示唆された。
  • 小林 英史, 田中 芳明, 浅桐 公男, 朝川 貴博, 谷川 健, 鹿毛 政義, 八木 実
    2009 年 24 巻 6 号 p. 1207-1213
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    【目的】緑茶カテキンには抗線維化作用や抗酸化作用があると報告されており、その効果および作用を胆汁鬱滞性肝障害モデルラットを用いて系統的に検討した。【対象及び方法】Wistar rat胆管結紮モデルをSHAM群、無治療群、治療群の3群に分け、17日後に犠死させた。検討項目は、AST、ALT値、抗酸化の評価として4-Hydroxynonenal染色と8-oxo-2'deoxyguanosine染色、炎症性サイトカイン活性化のkey mediatorとして転写因子Activator Protein-1 mRNAの定量、星細胞の活性化の指標として肝臓組織中のTGF-β1の免疫染色、線維化の評価としてAzan染色とα-smooth muscle actin染色である。【結果】緑茶カテキン抗酸化剤投与により、血清AST、ALT値の低下、転写因子AP-1の低下、酸化ストレス障害の軽減、星細胞の活性化の抑制、線維化の抑制がみられた。【結論】緑茶カテキン抗酸化剤投与により、酸化ストレス障害および転写因子の発現を抑制し、星細胞の活性化を抑制することによる線維化抑制効果が示唆された。
症例報告
  • 沖田 充司, 大谷 順
    2009 年 24 巻 6 号 p. 1215-1218
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    経皮経食道胃管挿入術(PTEG)では頚部体表面にチューブが露出し、その固定はチューブに続くボタン部分をバンドで頚に結びつけるという不安定なものである。そのため容易に自己抜去が可能であるほか、体位変換・体動時にチューブが絡まり事故抜去をきたしやすい。そこで今回、チューブ抜去防止を目的に頚部から左前胸壁まで皮下トンネルを作成し、PTEGチューブを埋没してボタンの露出部位を変更する試みを3例に施行した。1例はボタンの角部分の接触による皮膚炎をきたしたほか、1例は栄養カテーテルが絡まり自己抜去したため再挿入となった。術後経過中2例は瘻孔感染で切開排膿を繰り返したためボタンを頚部の元の位置に戻した。本方法は自己抜去防止効果にある程度有用ではあるが、ボタン部分のデバイス改良と瘻孔感染を防止する固定法の改善が必要である。
  • 甲原 芳範
    2009 年 24 巻 6 号 p. 1219-1222
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    症例は73歳、男性。主訴は水様下痢。脳出血後遺症による嚥下障害のため2001年9月に胃瘻を造設した。2002年3月26日にチューブ型・バンパー型からチューブ型・バルーン型胃瘻カテーテルに交換した。3月30日から1日2回水様下痢が出現し、4月2日に腹部単純X線写真で異常影を指摘され入院した。腹部に圧痛なく腹鳴も正常であった。血液検査で炎症反応は軽微であったが、腹部CTでは上行結腸周囲の空気像と横隔膜下にfree airを認めた。胃瘻カテーテルの造影でバルーンが十二指腸内に迷入していた。カテーテルの位置の矯正と絶食、高カロリー輸液で病状と画像所見は改善した。5月1日より経管栄養再開したが、翌日より下痢が再発した。胃瘻カテーテルの十二指腸内への迷入と腸管周囲の気腫が再度認められ、この時点で胃瘻カテーテルのバルーンによる十二指腸閉塞に起因する腸管嚢腫様気腫症の再発と診断した。カテーテルをチューブ型・バルーン型からボタン型・バルーン型に交換し十二指腸内への迷入を予防したところ、再発を認めなかった。胃瘻カテーテルのバルーンによる十二指腸閉塞が誘因となった腸管嚢腫様気腫症は稀と考えられ報告した。
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