抄録
経皮経食道胃管挿入術(PTEG)では頚部体表面にチューブが露出し、その固定はチューブに続くボタン部分をバンドで頚に結びつけるという不安定なものである。そのため容易に自己抜去が可能であるほか、体位変換・体動時にチューブが絡まり事故抜去をきたしやすい。そこで今回、チューブ抜去防止を目的に頚部から左前胸壁まで皮下トンネルを作成し、PTEGチューブを埋没してボタンの露出部位を変更する試みを3例に施行した。1例はボタンの角部分の接触による皮膚炎をきたしたほか、1例は栄養カテーテルが絡まり自己抜去したため再挿入となった。術後経過中2例は瘻孔感染で切開排膿を繰り返したためボタンを頚部の元の位置に戻した。本方法は自己抜去防止効果にある程度有用ではあるが、ボタン部分のデバイス改良と瘻孔感染を防止する固定法の改善が必要である。