2011 年 26 巻 5 号 p. 1211-1220
食物中に含まれる食成分であるポリアミン、脂肪酸、ポリフェノールについて、これまでに報告されている検討結果を概説した。近年の研究において、これらの食成分が多くの生理活性を有することがわかってきた。しかし、とくにヒトにおけるがん病態への影響や健康への効果に関しては不明なことが多い。食成分における一般的な問題としては、疫学調査や試験管内および動物実験によって得られた食成分に関する検討結果を拡大解釈する傾向があることである。これまでに得られた食成分の生理活性を応用してがん患者の病態治療の一助にするために、慎重に検討する必要がある。