静脈経腸栄養
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原著
間接熱量測定による食道癌患者の適正エネルギー投与量の検討―病期・治療による比較―
槇枝 亮子遠藤 陽子寺本 房子岡 保夫松本 英男平井 敏弘
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2011 年 26 巻 5 号 p. 1271-1275

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抄録

食道癌の手術は侵襲が大きく、縫合不全や術後肺炎などの術後合併症が多いことが知られている。術後合併症を予防するためには適切な術前栄養管理が必要であるが、どのくらいの栄養投与が適切なのか、進行度による差はあるのかという知見は少ない。そこで、食道癌患者39例を対象に間接熱量測定を行い、病期や癌治療によるエネルギー代謝の違いについて検討した。食道癌の進行度別に%BEEを検討したところI期 (6例) ; -10~-8%、II期 (7例) ; -8~-1%、III期 (14例) ; -19~+15%、IV期 (12例) ; -11~+37%で、進行度が進む程代謝亢進が見られ、癌病巣切除後や化学療法施行後ではエネルギー代謝の亢進はみられなかった。このことから、食道癌患者のエネルギー量決定にあたってはH-B式を用いて算出する方法では、治療前のストレス係数はI、II期は1.0、III、IV期では1.1~1.3と進行度を考慮してストレス係数を乗じることが適切と思われた。

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© 2011 日本静脈経腸栄養学会
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