抄録
重症患者の栄養アセスメントは、刻々と変化する病態を把握し栄養療法のプランニングを行なわなくてはならず、専門的な知識と高度な技術が要求される。
東京大学医学部附属病院では、2010年に「院内ICU栄養ガイドライン」を作成し定期的なNST活動が実施されるようになった。
ICU患者で手術後や熱傷、外傷患者に対して経腸栄養の早期開始を積極的に行なうべきであるが、実際は重症患者の栄養投与は難しく合併症も少なくないことからガイドラインのみに頼ることのないよう注意しなければならない。
重症患者の栄養アセスメントを行なうことが栄養状態の改善に寄与するか否かについては現在もコンセンサスは得られていない。集中治療の現場では限られた時間の中で病態の進行を予測しながら栄養療法に必要な情報をいかに多く入手するかがポイントとなる。