抄録
最初のPEGは1979年米国で6歳の小児例に対して施行された。この簡便で低侵襲な胃瘻造設法は急速に広まり、現在では我が国でも成人を中心に「PEG=胃瘻」と呼ばれるほど普及した。小児においても適切なデバイスが少ないこと、鎮静・麻酔の問題、胃食道逆流症の合併、親による介護などさまざまな問題があるが、適応を慎重に検討しデバイス、手技を適切に選択することにより、小児であっても安全で低侵襲にPEGを行うことができる。適応も幅広く、食道疾患、慢性偽性腸閉塞症、難治性下痢などの消化管疾患や、脳性麻痺、精神発育遅延などの重度の中枢神経障害、先天性の神経・筋疾患など多くの疾患が対象になる。一方で、入れ替え時のトラブルや肉芽形成、瘻孔周囲炎などの合併症も知られており、とくに瘻孔周囲炎、漏れが増悪すると著しくQOLを損なう。丁寧できめこまやかな管理を心がける。