日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第10回日本ロービジョン学会学術総会
セッションID: H101
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口演Ⅰ
ロービジョン患者の残存視野とQuality Of Life
*柳澤 美衣子加藤 聡国松 志保田村 めぐみ北澤 万里子落合 眞紀子庄司 信行
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抄録

【目的】ロービジョン(LV)患者の残存視野の形状とQuality Of Life (QOL)との関連を検討した。

【対象と方法】2005年4月から2009年1月に東大病院LV外来を受診した159例中、3か月以内にゴールドマン視野検査(GP)が施行され、以下に示す3形態の視野形状に分類でき、かつ視力良好眼の小数視力が0.3以下の60例を対象とした(平均年齢61.7±14.2歳)。原因疾患の内訳は、緑内障21例、黄斑変性症13例、網膜色素変性症、糖尿病網膜症それぞれ8例、その他10例であった。視野の評価にはGPのV/4とI/4イソプターの結果を左右合成し、両眼視野とし3群に分類した。中心+周辺群:V/4が30°以上かつI/4が30°以内残存(21例)、中心のみ群:V/4が20°以内の中心のみ残存(16例)、中心視野欠損群:中心視野欠損(暗点)が5°以上かつ周辺はV/4が30°以上残存(23例)。3群間に年齢、視力に有意差はなかった。対象患者に対し、VFQ-25を施行し、3群間の総合および項目別スコアを比較検討した。

【結果】中心+周辺群、中心のみ群、中心視野欠損群の総合スコアは、それぞれ35.0±15.0、36.0±8.6、26.0±11.3で有意差があり、中心+周辺群と中心視野欠損群、中心のみ群と中心視野欠損群間で有意差があった(P=.02、Tukey-Kramer)。項目別の検討では「心の健康」「役割機能」においても中心視野欠損群とその他の2群間で有意差があった(P=.02)。しかし「周辺視」では中心+周辺群、中心のみ群、中心視野欠損群の項目スコアは38.1±27.0、17.2±15.1、55.4±27.1であり、総合スコアとは逆に中心視野欠損群が有意に高かった(P<.0001)。

【結論】視力が同程度であっても残存視野の形状によってLV患者のQOLが異なることが明らかになった。
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© 2009 日本ロービジョン学会
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