静脈経腸栄養
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原著
炎症性腸疾患患者の入院時栄養評価
―潰瘍性大腸炎とクローン病の比較―
下谷 祐子鎌田 紀子林 史和百木 和十河 光栄山上 博一渡辺 憲治荒川 哲男塚田 定信羽生 大記
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2012 年 27 巻 6 号 p. 1361-1367

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抄録

【目的】病態が活動期で入院を要した炎症性腸疾患患者について、NSTによる適切な栄養学的介入を行うことを目的に栄養状態の評価を行った。
【対象及び方法】潰瘍性大腸炎患者、クローン病患者に対し、入院時に身体計測、インピーダンス法を用いた身体組成分析、血液検査・血液生化学検査、SGAを用いて栄養学的評価を行った。
【結果】入院を要した炎症性腸疾患患者は栄養状態が不良であることが示唆された。特に潰瘍性大腸炎患者は、急激な病状の増悪による炎症反応の亢進や重篤な消化器症状により、代謝の亢進、食事摂取量の低下が起こり、急激に低栄養状態に陥っていると考えられた。
【結論】潰瘍性大腸炎はクローン病に比して栄養療法の必要性が低いと認識されがちであるが、急激な栄養状態の悪化のみられる潰瘍性大腸炎患者においても、原疾患の治療とともにNSTを通じた積極的な栄養学的サポートが必要であると考えられた。

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© 2012 日本静脈経腸栄養学会
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