抄録
1990年代に肺結核患者の約20%が低栄養であると報告されているが、近年の肺結核患者の栄養状態に関する報告はない。肺結核は栄養関係の診療報酬が得られない疾患であり、適切な栄養管理が成されているか疑問である。本研究は肺結核患者の入院時栄養状態や栄養補給法の実態を明らかにすることを目的とした。近畿中央胸部疾患センターの肺結核患者374名を対象に、入院時栄養状態及び食事摂取状況、栄養補給法を検討した。
入院時血清アルブミン3.5g/dL未満患者は38%、3.0g/dL未満は20%であった。3.0g/dL未満患者は他の栄養指標も低値を示した。また、日本人の食事摂取基準に対する食事摂取率は50%であり、PN施行例は53%にみられた。過去の報告から20年が経過し、NSTが普及した現在においても栄養不良患者の割合に変化はなかった。適切な栄養スクリーニング及び栄養管理が成されているとは言い難く、結核は栄養サポートが必要な疾患であることが明らかとなった。