静脈経腸栄養
Online ISSN : 1881-3623
Print ISSN : 1344-4980
ISSN-L : 1344-4980
原著
瘻孔周囲炎治療に用いる重曹シュガー軟膏の基礎的検討
小茂田 昌代赤熊 秀介小原 脩平小藤 あずさ青野 史倉橋 祥子杉山 奈津子石井 直子野田 康弘
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キーワード: 胃瘻, 皮膚炎, 重曹
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2013 年 28 巻 3 号 p. 819-825

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抄録
【目的】重曹シュガー軟膏は胃瘻造設患者における瘻孔からの胃液漏出による皮膚炎を改善することをすでに報告した。今回は重曹シュガー軟膏の中和能力、製剤の安定性、吸水性、展延性の検討を行った。【方法】中和能力は軟膏に漏出した胃液を想定したpH3.5の希塩酸溶液を加えて混和し、pHを測定した。また、調製6週間にわたって中和能力を測定し、製剤の安定性を検討した。吸水性については飽和塩法により、展延性の検討は、スプレッドメーターを用いて検討を行った。【結果】重曹シュガー軟膏は希塩酸溶液を中性付近まで中和した。調製後4週間まで中和能力は安定し、有効期限は4週間が適当と考えられた。また8時間経過後の吸水率は0.7%と低かったが軟膏の延びは小さく塗布部位への保持力にすぐれ、また降伏値の結果より塗りやすいと考えられた。
【結論】今回の基礎的検討により、重曹シュガー軟膏は瘻孔漏出液を中和する軟膏として適正な製剤であると考えられる。
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© 2013 日本静脈経腸栄養学会
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