抄録
既往歴として胃切除術がある85歳、男性。脳出血後遺症による嚥下障害に対してPTEGが実施された。約10ヶ月後にPTEG瘻孔より大量出血があり、頚部造影CT検査で左総頸動脈に直径1.8センチの仮性動脈瘤が認められた。血管内治療を選択し、コイル塞栓とステント留置にて治療を行い良好な結果を得た。PTEGは超音波下に頸部食道を穿刺するという手技を用いるため、実施時には頚部血管損傷、気管損傷や反回神経麻痺など、内視鏡的胃瘻造設術 (PEG) とは異なる合併症が報告されている。一旦安全に実施されたPTEGはその後長期にわたり使用可能であるが、時にその解剖学的理由から、本例のような重篤な合併症を引き起こす可能性も秘めている。本例はPTEGの晩期合併症として念頭に置いておくべき病態と思われる。