抄録
大規模自然災害においては直接的な人的被害だけでなく,ライフラインや医療機関へのダメージにより,発災後から長期的に様々な被害が発生・拡大することが予想されている.本研究では,被災者の生命・健康へのダメージを時系列で予測し,余命指標を用いて定量的に評価する手法を構築する.構築した手法を南海トラフ巨大地震に適用した結果,発災から1ヶ月後に至るまで,多くの地域において医療対応が不足し,重軽傷者の回復に遅れが出る上に,健康であっても避難所生活が長期に渡れば,新たな健康被害も発生することが確認された.また,これらの現象を障害調整生存年(DALY)で統合的に評価した結果,発災1ヶ月後においても人々へのダメージは緩和せず,事前のライフライン強化や発災後の医療・避難環境のケアが重要であることが示唆された.