抄録
気分障害(うつ病・双極性障害)の患者数が統計上明らかに増えており、90年代には40万人程度であったのが、現在では優に100万人を超えている。様々な要因が言われているが、我々はひょっとして食事の変化すなわち多価不飽和脂肪酸のω6:ω3比のアンバランスも関与しているのではないかと考えている。というのも、今までの様々な疫学調査や臨床試験の報告より、ω3系多価不飽和脂肪酸(以下ω3)が気分障害に関与していることがわかってきたからである。今のところ精神疾患の中でも特にうつ病に対して効果がありそうだが、本稿ではこの分野に関する海外からの疫学調査や臨床試験の報告を紹介したいと思う。