静脈経腸栄養
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28 巻 , 4 号
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特集
  • 深柄 和彦
    2013 年 28 巻 4 号 p. 909-913
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    NST活動の広がりとともにわが国でも脂肪乳剤の利用が増えつつある。しかし、脂肪粒子の代謝スピードの問題、脂肪乳剤存在下での病原体増殖の問題、ω6系脂肪酸を主成分とする大豆油由来であるがゆえの炎症反応増悪の危険性、がある。したがって、1) 適正な投与スピード・量を守る、2) 輸液ラインの24時間以内の交換、3) 高度な炎症反応が生じている急性期での投与を控える、ことに注意をはらう必要がある。
  • 三好 真琴, 宇佐美 眞, 藤原 麻有, 青山 倫子, 前重 伯壮, 高橋 路子, 濵田 康弘
    2013 年 28 巻 4 号 p. 915-921
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    近年、腸内フローラは肥満やメタボリックシンドロームに関与する環境因子として注目されている。腸内フローラは、未消化食物成分を代謝し、アミノ酸、ビタミン、脂肪酸などを宿主に供給しており、その機序の一つとして腸内分泌細胞のI細胞やL細胞上の栄養受容体が関与している。脂肪酸レセプターは、短鎖脂肪酸がGPR41、GPR43、中鎖、長鎖脂肪酸がFFAR1、GPR120と近年同定された。特に腸内フローラの代謝物である短鎖脂肪酸はレセプターやトランスポーターMCT-1を介して多様な機能を発揮し脂質代謝へも効果を及ぼすと考えられている。さらに、短鎖脂肪酸の代謝仮説に基づいて腸内フローラと脂質濃度の関連を解析した我々の結果を交えて、腸内細菌と脂質代謝について概説する。腸内フローラと多価不飽和脂肪酸の関連が新たに得られ、更なる検討が必要であろう。
  • 土師 誠二
    2013 年 28 巻 4 号 p. 923-928
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    ω3系ならびにω6系の多価不飽和脂肪酸 (PUFA) は肝切除に伴う生体反応と密接な関わりを有することが明らかにされている。PUFAの代謝産物であるプロスタノイド (PGE2、PGI2) は肝再生促進作用を有し、ω3系PUFAは実験的にも臨床的にも大量肝切除、肝虚血再還流障害に伴う高サイトカイン血症を制御し、感染性合併症を抑制することが示されている。一方、ω3系PUFAは免疫栄養療法 (immunonutrition) の主要な構成要素として、すでに外科感染症制御効果が確立されている。我々が実施した肝硬変肝癌に対する肝切除例を対象とした無作為比較試験は、術前immunonutritionが炎症反応制御、免疫能維持から感染性合併症を抑制することを明らかにし、この効果には術前に肝組織中EPA/AA比を上昇させておく“metabolic preconditioning”が重要であると考えられた。さらに、主に経腸栄養剤を用いるi mmunonutriti onに加えて、高ω3系PUFA配合脂肪乳剤の静脈投与が肝切除後の感染性合併症を同様に抑制することも報告され、投与経路に関わらずω3系PUFAの有効性が期待出来るものとされ、本邦での臨床使用が待たれる。
  • 有田 誠
    2013 年 28 巻 4 号 p. 929-932
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    栄養素であり、かつ生体膜リン脂質や中性脂肪の構成成分でもある脂肪酸は、生命活動において必須である。脂肪酸には多くの種類があり、飽和と不飽和、さらに不飽和度の高い多価不飽和脂肪酸などに大別される。また、多価不飽和脂肪酸の中でも分子内の二重結合の位置によりn-3系、n-6系の脂肪酸が存在しており、それらは哺乳動物の体内において相互変換されることはなく、代謝的に質の異なる脂肪酸である。このように質の異なる脂肪酸が生体内で特徴的な分布を示し、それぞれに特異な代謝を受け、さらにその代謝は互いに影響し合うことで、様々な生理機能や病態に影響を及ぼすことが知られている。そこで本稿では、このような脂肪酸バランスの違いが関わる事象について、とくに炎症性疾患との関連についてご紹介したい。
  • 桒原 孝成, 森 潔, 向山 政志
    2013 年 28 巻 4 号 p. 933-938
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    腎と脂質代謝の関係は注目されることが少ない領域であった。しかしながらこの四半世紀の間に特徴的な腎病変を示すリポ蛋白糸球体症の病態が解明され、心血管合併症のリスクとしての慢性腎臓病 (chronic kidney disease; CKD) における脂質代謝異常の重要性が明らかになるにつれ、その役割が見直されつつある。CKD患者では種々の要因でnon-HDLコレステロールが増加、これが動脈硬化促進的に働くと同時に腎症を進展させるという悪循環を形成する。また血糖、血圧、脂質代謝はメタボリック症候群で相互に連関する主要因子であるが、糖脂肪毒性が腎病変形成においても認められ、その機序としてマクロファージのMRP8/TLR4 シグナル活性化が重要であることを明らかにした。さらに本シグナル経路と高血圧との関連も示唆されている。本機序を理解することは生活習慣病が蔓延する現代のCKD患者診療の一助になると考えられる。
  • 寺師 浩人, 前重 伯壮, 野村 正, 宇佐美 眞
    2013 年 28 巻 4 号 p. 939-943
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    脂質は皮膚を構成する重要成分であり、細胞膜の正常機能維持や免疫に寄与する。従って、創傷治癒機転を把握するためには、脂質の主成分である脂肪酸を理解することが重要である。そのためには、皮膚における脂肪酸代謝、表皮角化細胞や線維芽細胞の脂肪酸組成、さらに脂肪酸と創傷治癒との関係を多角的にみなければならない。脂肪酸は食事 (もしくは内服) と外用から体内に吸収されるわけであるが、正常に吸収・代謝されなければ、迅速な創傷治癒機転が働くことが困難となり、正常皮膚の機能維持も図ることができない。時宜を得た脂肪酸の代謝がなければ正常創傷治癒機転が機能しなくなり、結果として創傷治癒遅延のみならず瘢痕形成にも繋がりかねない。本項では、正常皮膚の脂肪酸組成、創傷治癒過程における脂肪酸代謝、瘢痕における脂肪酸組成、さらには脂肪酸によるケロイド制御の展望について述べる。
  • 落合 邦康
    2013 年 28 巻 4 号 p. 945-952
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    膨大な研究により腸内フローラの代謝産物・短鎖脂肪酸 (SCFA) は、生体にとって極めて有益で且つ重要な物質であることは間違いない。近年、慢性炎症性疾患・歯周病が糖尿病などさまざまな全身疾患の誘因となることが各方面で報告され、口腔と全身との関わり広く注目されている。歯周病の主要原因菌である一群の口腔内嫌気性菌は、大量のSCFA、特に酪酸を産生する。酪酸は、高濃度において歯周組織にさまざまな為害作用を及ぼすと同時に、潜伏感染ヒト免疫不全ウイルス (HIV) やEpstein-Barr virusを再活性化し、AIDSや種々の腫瘍発症、がん細胞の転移にも関与する可能性が判明した。内因性感染症や自己免疫疾患研究において、共生細菌体が宿主に及ぼす直接的影響の研究は必須であるが、新たな視点から、SCFAなどの微生物代謝産物の影響を検討することも極めて有意義であると考える。
  • 小宮 一郎, 奥村 耕一郎, 平良 伸一郎, 友寄 毅昭, 池間 朋己
    2013 年 28 巻 4 号 p. 953-960
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    コホート研究において低コレステロール血症にて悪性腫瘍発症が増加する可能性やスタチン投与群で悪性腫瘍による死亡が多い事が報告されている。一方で、血液悪性疾患や固形癌を発症した後に低HDL-C血症と低LDL-C血症が惹起され、悪性腫瘍予知因子や治療目安として捉えられると報告されている。これらの機序にはTNFαなどのサイトカインが関与していると考えられる。しかし、これらの低HDL-C血症や低LDL- C血症が悪性腫瘍発症に「先行」するのか、「続発」するのかについて文献上からは結論を見いだせない。しかし、自験例の悪性リンパ腫などで低HDL-C血症や低LDL-C血症が治療により回復する事実からすると、悪性腫瘍発症に「続発」する可能性の方が大きい。メタボリック症候群との関連性の高い乳癌や前立腺癌での低HDL-C血症は同時に高LDL- C血症も合併する事が多い。こちらは悪性腫瘍発症に「先行」する病態として捉えるべきである。以上のように、悪性腫瘍に伴う脂質代謝異常はサイトカインの増加が根底に存在するもののいくつかの異なる病態が混在するものと考えられる。
  • 里 直行
    2013 年 28 巻 4 号 p. 961-966
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    認知症、とくにアルツハイマー病と脂質代謝に関して、1) アルツハイマー病についての概論、2) アルツハイマー病と脂質代謝、3) アルツハイマー病と食事、の順に述べて行きたい。
  • 浜崎 景, 浜崎 智仁, 稲寺 秀邦
    2013 年 28 巻 4 号 p. 967-971
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    気分障害(うつ病・双極性障害)の患者数が統計上明らかに増えており、90年代には40万人程度であったのが、現在では優に100万人を超えている。様々な要因が言われているが、我々はひょっとして食事の変化すなわち多価不飽和脂肪酸のω6:ω3比のアンバランスも関与しているのではないかと考えている。というのも、今までの様々な疫学調査や臨床試験の報告より、ω3系多価不飽和脂肪酸(以下ω3)が気分障害に関与していることがわかってきたからである。今のところ精神疾患の中でも特にうつ病に対して効果がありそうだが、本稿ではこの分野に関する海外からの疫学調査や臨床試験の報告を紹介したいと思う。
原著
  • 青山 高, 加藤 陽子, 赤川 順子, 遠藤 有里, 岡村 郁恵, 小倉 和外, 池田 宇次
    2013 年 28 巻 4 号 p. 973-980
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    【目的】自家造血幹細胞移植化学療法時における栄養療法の有用性を検証した。【方法】2006年から2010年までの間、当院にて自家末梢血幹細胞移植術を施行した25症例を対象に、移植前処置化学療法からCVC抜去までの供給栄養量(熱量、蛋白質)、CTCAE、CRP、Alb、InbodyS20®を評価した。【結果】期間前後の体重、骨格筋量、体脂肪量に有意な差はなかった。介入期間3か月(body loss weight:%LBW≧7.5%)における%LBW逸脱は25例中3例であった。体重と骨格筋量の変化および供給熱量,骨格筋変化と供給蛋白質量に相関があった。%LBW逸脱の見られなかった(2.4±1.7%)22例の平均供給熱量は26±5kcal/ kg/day、蛋白質0.9±0.2g/kg/dayであった。【結論】化学療法時は体重減少と共に骨格筋の減少が進む。有害事象に合わせた栄養療法はQoLを維持するために有用である。
  • 神崎 憲雄, 相澤 悟, 山田 由美子, 菅波 由紀, 佐藤 法子, 山口 宗之, 西村 道明
    2013 年 28 巻 4 号 p. 981-986
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    【目的】経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)症例の長期予後に影響する因子を検討し、PEGを行うべき対象患者や時期について考察した。【対象及び方法】対象は2004年1月~2010年12月までにPEGを施行した183例。PEGの方法はPull法で行った。【結果】PEG後の死亡原因は肺炎・呼吸不全が最も多かった。多変量解析の結果、性別、悪性腫瘍を有する、コリンエステラーゼ(ChE)、術後経口摂取可能の4項目が独立した予後予測因子として挙げられた。【結論】PEG後の主な死因は肺炎であり、誤嚥などのリスクを考えると、嚥下機能が保たれPEG後にわずかでも経口摂取が見込める症例が適していると考えた。また極度の栄養不良は予後不良であり、栄養状態を早期にアセスメントし、ChEなどを指標とした栄養状態が保持されているうちに行うのが好ましいと考えた。
症例報告
  • 堀 亮太, 渡邊 智子, 奥村 知之, 澤田 成朗, 長田 拓哉, 嶋田 裕, 塚田 一博
    2013 年 28 巻 4 号 p. 987-991
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    症例は74歳女性。進行胃癌の診断で、術前化学療法の後に根治切除目的に入院となった。全身麻酔導入後に右内頸静脈から中心静脈カテーテルを留置し、胃全摘を施術した。カテーテル留置を含め大きな術中トラブルはなかった。
    術後第5病日に胸痛を訴えたが、臨床所見を伴わず経過観察とした。経口摂取開始後、第7病日、第8病日に発熱したため、縫合不全を疑い、絶飲食としたが造影検査上は明らかな異常を認めなかった。血液検査上炎症所見の再燃を認めたため、胸腹部CTを施行したところ、右内頸静脈から留置された中心静脈カテーテルの先端が上大静脈ではなく、右内胸静脈に迷入し、その静脈炎および静脈周囲炎を認めた。カテーテル抜去にて症状は軽快し、その後感染性合併症の再燃を認めず退院した。
    内頸静脈穿刺から中心静脈カテーテル先端が内胸静脈に迷入することは希であるが、発生予防は困難で、発見には胸部X線撮影側面像が有用である。しかしより重要なのは、症状の訴えから迷入を予測する知識に加え、中心静脈カテーテルの留置および高カロリー輸液の適応の厳格化であると考えた。
施設近況報告
  • 柴田 佳久
    2013 年 28 巻 4 号 p. 993-996
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    【目的】地域基幹10病院で組織する「東三河地域連携栄養カンファランス」活動の成果を評価した。【対象及び方法】本勉強会参加者を対象としたアンケート調査と地域各施設のNST活動について聞き取り調査を実施した。【結果】参加者は医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師や栄養士と多職種であった。個々の参加回数は3回以上41%、1回38%、2回21%で、職種についての参加構成は開催回により差がみられた。開催希望頻度についての回答は、現状の年2回51%、年3回49%だった。開催形式では、3時間程度との希望が多く、構成は現状の教育講演と症例検討1例が53%、教育講演と症例検討2例17%、スクール形式のみ12%、症例検討のみ1%だった。勉強会の解説レベルは、現状程度でよい86%、もっと簡単に12%、もっと高度に2%だった。各テーブルメンバー構成は、現行の他施設多職種混成が76%、職種ごと12%、施設ごと9%だった。NST活動認知のための働きかけとしては、施設内講演・本会参加への働きかけが有効であった。また施設間研究も始まり、地域としての活性化がみられた。【結論】本カンファランスの運営内容については高評価を得、本会の各施設の活動支援とカンファランス参加者への教育効果も確認された。今後は、活動継続の面から、参加者数の確保と地域へ広報方法の見直しを行い、内容は実臨床へ拡大できるものを計画する。
  • 柴田 賢三, 青山 美善, 宇野 達也
    2013 年 28 巻 4 号 p. 997-1001
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    在宅中心静脈栄養法(home parenteral nutrition: HPN)では様々な医療スタッフの連携が不可欠であり、保険薬局もその一端を担っている。今回、在宅医療におけるHPNへの取り組みとその評価について報告する。2008年1月~2011年12月までの期間におけるHPN関連業務内容(輸液ポンプレンタル延べ件数、居宅療養管理指導件数の推移等)について調査するとともに、連携医療機関にアンケート調査を行った。ポンプレンタル延べ件数、居宅療養管理指導件数は経時的に増加しており、HPN実施中の問い合わせ内容については在宅栄養管理において総合的な判断が必要とされるものも含まれていた。アンケートではHPNにおける保険薬局の対応に対し、「非常に良い」、「良い」が各項目において半数以上を占めていた。今回の検討結果は保険薬局が地域医療に積極的に取り組むための方向性の一つになり得ることが示唆された。
臨床経験
  • 小笠原 隆, 岡本 康子, 丸井 志織, 嶋津 多佳子, 蓜島 桂子, 内藤 慶子, 島田 理恵, 神谷 晴敏, 坂田 淳, 池松 禎人
    2013 年 28 巻 4 号 p. 1003-1006
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    【目的】人工呼吸管理を要する急性呼吸促迫症候群(ARDS)患者に対してペプタメンAFTM投与の安全性を評価する。【方法】2010年11月より2012年3月までに人工呼吸管理を行い、栄養療法としてペプタメンAFTMを使用した16症例を後方視的に検討した。【結果】症例は男/女:11/5で、年齢中央値76歳であった。1例(6%)にGrade1の嘔吐、1例(6%)にGrade3の下痢を認めたが、栄養計画の変更を要した症例はなかった。10例で人工呼吸管理開始後72時間以内にペプタメンAFTMが開始され(早期開始群)、残り6例はそれ以降で開始(後期開始群)とされていた。早期開始群の方が有意に人工呼吸器装着期間、ICU滞在期間が短かったが、60日以内の院内死亡には差がなかった。【結語】ARDSなどの人工呼吸管理症例の経腸栄養療法において、ペプタメンAFTMは安全に使用でき、早期経腸栄養の実践には有用な栄養剤であると考えられた。
日本静脈経腸栄養学会認定地方研究会
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