2023 年 59 巻 3 号 p. 304-310
当院で卵巣嚢胞にて診療した新生児〜乳児につき後方視的に調査し,自然退縮群と手術群での嚢胞径変化の特徴と治療方針について検討した.
胎児期最大嚢胞径は自然退縮群で3.3±1.1cm,治療介入群で5.0±1.3cm,出生時の嚢胞径はそれぞれ,1.6±1.2cm,5.2±1.6cmで,いずれも有意に治療介入群が大きく,胎児期嚢胞径が最大の時点から出生直後までの径変化率はそれぞれ,-42±36%,+5.1±27%で有意差を認めた.胎児期に嚢胞径が最大であった妊娠週数はそれぞれ32±3.2週,37±2.1週と自然退縮群の方が有意に早く,手術時に捻転を起こしていた症例に着目した場合も同様の結果であった.以上解析し,嚢胞径に加え胎児期嚢胞径のピーク時期が38週以降の症例,出生時までの変化率が-5%以上の症例はすでに捻転,あるいは捻転する可能性が高いと考えて治療方針を検討すべきと考えられた.