2024 年 59 巻 4 号 p. 462-465
国内では2022年に,梅毒感染者数が1999年4月に5類感染症の全数把握対象疾患に定められてから初めて10,000人を突破した.2012年までは男性同性愛者の中でわずかにみられていた梅毒が2013年以降,女性感染者が急増した.女性感染者の3/4は20-30歳代であり,女性では若年層が中心である.さらに,母子感染症である先天梅毒が増加している.梅毒合併妊婦は年間200例を超え,先天梅毒は2012年まで年間10例以下だったものが,2023年には第3四半期までですでに32例となっている.本稿では,再興感染症であり,母子感染症でもある梅毒について詳説する.