2024 年 60 巻 1 号 p. 7-12
慢性早剝羊水過少症候群(CAOS)は持続する原因不明の性器出血,当初は羊水量が正常だが破水の所見なく羊水過少に至ると定義されるが,実臨床においては経腹超音波所見で診断することが多い.今回,性器出血を伴わないものの,超音波検査からCAOSと疑った羊水過少症例6例について後方視的に検討をした.全例で羊水過少,3例でFGR,3例で胎盤肥厚を認めた.2例は人工妊娠中絶,4例が分娩週数中央値29週,全例早産で分娩となった.出生体重の中央値は756.5g,1例で早期新生児死亡,残り3例は生児を得た.全例分娩前の性器出血はなく,血性羊水を認めた.胎盤の病理組織学的検討で,4例にびまん性ヘモジデリン沈着(DCH),5例で胎児血管灌流障害,6例で絨毛膜羊膜炎を認めた.今回検討した症例はCAOSと同様の病態を呈していた可能性が疑われ,性器出血はCAOSに必ずしも伴う必要はない可能性がある.