日本周産期・新生児医学会雑誌
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Print ISSN : 1348-964X
症例報告
NIPTで偽陽性・判定保留を示し,経時的解析を行ったvanishing twinの1例
甲斐 一華児玉 美穂三春 範夫正路 貴代中前 里香子池田 真妃伊達 健二郎
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2024 年 60 巻 1 号 p. 99-104

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抄録

 【症例提示】妊娠初期の双胎一児死亡いわゆるvanishing twin(VT)はNIPTの結果に影響することが知られている.今回我々はNIPTが擬陽性・判定保留を示したVT症例で経時的な解析を行い,VTがNIPTに及ぼす影響を検討した.妊娠9週にVTと診断された症例で,6回NIPTを実施し,ZスコアとFetal Fraction(FF)を測定した.妊娠15週では18染色体のZスコアが上昇して判定保留となった.16週ではZスコアがさらに上昇して陽性となったが,羊水検査で正常核型であることが確認された.19週以降は週数依存的に低下した.FFは16週で上昇し,19週で低下,それ以降は週数依存的に上昇した.これらは罹患児・生児胎盤由来cell free DNA(cfDNA)の変動に関連していた.【考察】一児死亡後そのcfDNAが母体血中に長期的に残存し,NIPT結果に影響することが確認された.

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© 2024 日本周産期・新生児医学会
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