2024 年 60 巻 3 号 p. 384-389
目的:慢性胎盤早期剝離(慢性早剝)は,妊娠中に7日間以上,性器出血が持続する状態であり,特に羊水過少を伴う慢性早剝羊水過少症候群(CAOS)は周産期予後不良とされる.これまでCAOSと羊水過少を伴わない慢性早剝の周産期予後を比較した報告は少なく,これらの周産期予後を比較検討した.
方法:2016年1月から2022年12月に当院で周産期管理を行い,慢性早剝と診断した症例をCAOS群と非CAOS群に分類し,臨床背景および新生児予後について比較検討した.
結果:CAOS群は5例,非CAOS群は7例で,全例早産であった.初発出血妊娠週数,分娩週数,妊娠中の絨毛膜下血腫ならびに前期破水の発生率,胎盤所見の陽性率,慢性肺疾患の発症率,在宅酸素導入率のいずれにおいても,CAOS群と非CAOS群との間で有意差は認めなかった.
結論:慢性早剝では,羊水過少を伴わなくとも周産期予後が不良である.