2025 年 61 巻 1 号 p. 50-56
目的:当院で経験したRPOC(Retained products of conception)の症例を検討し,地域医療における適切な管理方法を明らかにすることを目的とした.
方法:2019年4月から2022年3月までに当院でRPOCと診断された症例を対象とした.対象症例の診断方法,臨床経過,治療方針について,診療録を用いて後方視的に検討した.結果:対象症例は10例で,年齢の中央値は31歳であった.治療は4例が子宮動脈塞栓術(うち2例は子宮鏡を用いた経頸管摘除術併用),1例が単純子宮全摘術,5例は外来経過観察のみで軽快した.当院所在地の市外居住者4例中3例で,子宮動脈塞栓術などの侵襲的治療を行っていた.
結論:RPOCの多くは経過観察で自然消退するが,居住地が病院から遠いため,予防的に侵襲的治療を行った症例が複数あった.RPOCの治療方針決定には居住地の医療状況を考慮する必要がある.