1981 年 17 巻 6 号 p. 1059-1066
1) 小児悪性腫瘍の進行例に積極的な治療を行うようになった昭和52年以降に4例のP. carinii肺炎の併発を経験した.2) 肝芽腫の1例を効命したが, 神経芽細胞腫の3例はP. carinii肺炎のために死亡した.3) P. carinii肺炎の発症には強力な抗腫瘍療法による細胞性及び液性免疫の低下が関与していると思われた.4) 4症例中3例に発症の1∿2カ月前に一過性の好酸球増多がみられた.5) 診断はopen lung biopsyにより, 肺組織のGrocott染色で虫体を証明した.疑わしい時は早期に肺生検を行うべきである.6) 診断確定後は抗腫瘍治療は一時中止し, Baktar, Daraprim及びpentamidineにより治療を行った.7) P. carinii肺炎の発生予防にはBaktarの予防内服が有効と思われる.