日本小児外科学会雑誌
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学術集会記録
原著
  • ―Under 45 Working Group内アンケート結果の集計より―
    上松 由昌, 荒井 勇樹, 尾形 誠弥, 狩野 元宏, 高澤 慎也, 中畠 賢吾, 三宅 優一郎, 矢田 圭吾, 矢野 圭輔, 吉村 翔平, ...
    2026 年62 巻1 号 p. 31-42
    発行日: 2026/02/20
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】2024年4月より施行された医師の働き方改革により,小児外科医の働き方も変化する.働き方改革下でも小児外科診療の質と働きがいを維持するために,働き方改革関連法施行前の小児外科医の働き方の実態を明らかにする.

    【方法】日本小児外科学会Under 45 Working Groupに所属する学会員を対象に,働き方改革関連法施行前の労働実態についてアンケート調査を行った.

    【結果】31名から回答を得て,回収率は49%であった.回答者の内訳は30代が55%,40代が45%であった.1か月あたりの時間外労働は,45時間以上が57%,90時間以上が21%であった.回答者の36%が過重労働に起因して健康を害した経験があると回答した.労働時間と支払われる対価に対しては64%が不満を感じていた.施設別に見ると,大学病院では89%が労働時間とその対価に不満を感じているのに対し,こども病院では不満を感じている者はいなかった.当直・オンコールについては,20%が月に6回以上の宿直・日直に従事し,32%が月に10回以上の1st callを担っていた.1st call,2nd callをあわせると,58%が月に10回以上のオンコールを担っていた.

    【結論】時間外労働や日当直・オンコールなど,本邦の小児外科医が多くの責任を担っていることが明らかとなった.働き方改革が進むことで小児外科医の労働環境の改善が望まれる.

  • 遠藤 耕介, 溝上 優美, 東尾 篤史, 園田 真理, 岩出 珠幾, 福澤 宏明, 佐藤 正人
    2026 年62 巻1 号 p. 43-48
    発行日: 2026/02/20
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】精巣捻転症は代表的な小児泌尿器科領域の救急疾患であり,迅速に診断・治療介入を行うために身体所見のみで算出可能なTWISTスコアが提唱された.その有用性に関して報告が散見されるが,本邦からの報告は限られている.今回,当科で経験した精巣捻転症症例を対象としてその有用性について検討した.

    【方法】2016年から2024年までに当科で手術を施行した精巣捻転症の43症例を対象とし,診療録から患者背景,TWISTスコアと各項目,手術術式と治療経過について検討した.また精巣固定術を施行し術後に精巣萎縮を認めなかった予後良好群(G群)と,精巣萎縮を認めた,または除睾術を施行した予後不良群(P群)とに分けて比較を行った.

    【結果】TWISTスコアの各所見に関して,「精巣腫脹」が42例(97.6%),「硬い精巣」が31例(72.1%),「精巣挙筋反射の消失」・「嘔気・嘔吐」・「精巣高位」が各々33例(76.7%)で記載されていた.25例でTWISTスコアが算定可能で,うち5例が2点だった.G群とP群との比較ではTWISTスコアに有意差を認めなかったが,各項目では「精巣腫脹」(p=0.004)と「硬い精巣」(p=0.036)がG群で有意に少なかった.「精巣腫脹」が陰性の症例の検討ではその他の項目の少なくとも一つが陽性を示した.

    【結論】TWISTスコアが2点でも精巣捻転症のことがあり,低スコアの場合に注意が必要だが,TWISTスコアに基づいた診療を行う事で「精巣腫脹」のない診断困難な症例でも見逃しを回避できる可能性がある.

症例報告
  • 狩野 陽子, 小野 靖之, 高須 英見, 前田 拓也
    2026 年62 巻1 号 p. 49-53
    発行日: 2026/02/20
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    陰部浮腫は腹膜透析(peritoneal dialysis: PD)患者における合併症としてしばしば報告される.皮下に透析液が漏れ出る事によって発生し,過去の腹部手術創が原因になることもあれば,鼠径ヘルニア等の腹膜の脆弱な箇所で生じることもある.

    今回我々は生後1か月の女児で,会陰部の浮腫を主症状とし,のちに鼠径ヘルニアの診断に至ったoccult inguinal herniaの1例を経験した.皮下への透析液の漏出により除水不良を起こし,鼠径ヘルニア手術とPDカテーテルの入れ替えを行った.手術により透析液の漏出は改善し,その後再発を認めていない.

    小児PD患者では,腹膜の損傷は透析液の漏出を起こす可能性があり,腹膜の損傷箇所は可及的に減らす事が望ましいと思われる.また,小児PD患者では鼠径ヘルニアが再発しやすい傾向があり,慎重な術式選択と手技が特に肝要と考えられた.

  • 木戸 美織, 西田 翔一, 中村 清邦, 桑原 強, 廣谷 太一, 安井 良僚, 田村 亮, 岡島 英明
    2026 年62 巻1 号 p. 54-60
    発行日: 2026/02/20
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    症例は5歳,男児.5か月前より軽度嘔吐を認め,3週間前に上気道炎罹患を契機に増悪し食事摂取が困難となったため前医受診.胸部造影CTで食道全体の拡張を認め当科紹介となった.入院後食道造影検査で食道の拡張と造影剤の通過障害を認め,高解像度食道内圧検査で下部食道括約筋の積算弛緩圧が16.7 mmHg(正常上限15.0)と高値を示しType I食道アカラシアと診断された.Eckardt scoreは4点であった.全身麻酔下にバルーン拡張術を施行し,モサプリドクエン酸と六君子湯の内服を開始した.食事は嘔吐なく摂取可能となり退院した.退院後に嘔吐の再燃を認め,術後3,9,14か月で再度バルーン拡張術を行った.現在最終治療後16か月,食事は制限なく摂取可能で7 kgの体重増加が得られている.

  • 田中 夏美
    2026 年62 巻1 号 p. 61-64
    発行日: 2026/02/20
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    症例は5歳男児.発熱と左陰囊の腫脹,疼痛を主訴に当科を紹介受診した.左陰囊内リンパ管腫感染を疑い抗生剤加療を開始したが,翌朝発赤腫脹疼痛が増悪し緊急ドレナージ術を施行した.ドレナージ後は速やかに症状が改善した.炎症鎮静化1か月半後に左陰囊内囊胞性腫瘍摘出術を施行したが,高度癒着があり剥離に難渋した.囊胞内容液はリンパ球主体で,病理組織学的に陰囊内リンパ管腫と診断した.術後リンパ漏を合併し,左陰囊が緊満してQOLの低下をきたした.術後1か月後もリンパ漏が改善せず,越婢加朮湯を開始したところ1週間で陰囊の緊満が消失した.越婢加朮湯は半年間内服して終了し,術後3年半再発は認めていない.越婢加朮湯には体内の水分の不均衡を正常化する利水作用があり,正常なリンパ液の流れを促進してリンパ管奇形病変の縮小につながると考えられている.利水作用が術後リンパ漏にも有効である可能性が示唆された.

  • 原田 篤, 黒部 仁
    2026 年62 巻1 号 p. 65-71
    発行日: 2026/02/20
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    Teduglutideは天然型グルカゴン様ペプチド-2アナログ製剤で近年,小児の短腸症候群に対する使用報告が散見される.今回,小腸型Hirschsprung病に対して乳児期よりteduglutideを使用し,根治術に至った症例を経験した.症例は在胎37週6日2,994 gにて出生の男児で,腹部膨満と胆汁性嘔吐を主訴に来院した.日齢4に試験開腹を行い小腸型Hirschsprung病の診断でTreitz靭帯から75 cm部に回腸瘻を造設した.その後,心室中隔欠損症に対する心内修復術後に腸炎を発症し水分,電解質管理に難渋したため月齢7にteduglutideを開始した.月齢12に遠位側の腸瘻が皮下に嵌頓し人工肛門再造設術を行ったが,その後は徐々に腸管順応が進み,月齢17に静脈栄養から離脱し,月齢19に根治術を行った.術後経過は良好で月齢22に退院となった.Teduglutideは乳幼児期における腸管順応の促進,便性の改善という観点で効果的な可能性があり,広域型Hirschsprung病に対する治療の選択肢の一つとして考慮される.

  • 平原 慧, 亀井 尚美, 大津 一弘, 栗原 將, 佐伯 勇
    2026 年62 巻1 号 p. 72-78
    発行日: 2026/02/20
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    小児に対するABTHERA®による腹部開放管理(open abdominal management:以下OAM)の報告は少ない.今回,我々は小児重症肝損傷に対して経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:以下TAE)とABTHERA®によるOAMを行い,肝切除を要さずに経過した症例を経験したので報告する.症例は10歳男児.遊具で誤って転倒した際に,腹部を打撲し当院に搬送となった.造影CT検査にて重症肝損傷IIIb(複雑深在性損傷)と診断し,初期輸液には反応したものの,TAEでは完全な止血が得られずに動脈以外の出血が疑われたためダメージコントロール手術(damage control surgery:以下DCS)を行った.ABTHERA®によるOAMを行いながら,高次医療機関に転院搬送,second lookにて止血が確認され,合併症なく救命することができた.

    今回,小児重症肝損傷に対して初めてABTHERA®を用いたが,速やかに出血と汚染をコントロールし計画的なDCS戦略を行うことができたため,小児においても有効であった.

  • 岡野 寛, 笠井 智子, 高見澤 滋, 好沢 克, 入江 友章, 足立 綾佳
    2026 年62 巻1 号 p. 79-84
    発行日: 2026/02/20
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    小児では稀な鼠径ヘルニア偽還納を超音波検査により術前診断しえた症例を報告する.症例は1歳0か月の男児.右鼠径ヘルニア嵌頓に対し前医で徒手整復が行われたが,帰宅後も嘔吐が持続したため翌日再診し精査加療目的に当院に搬送された.身体所見では鼠径部の腫脹はなく右停留精巣を認めた.病歴と超音波検査所見から右鼠径ヘルニア偽還納による腸閉塞と診断し,同日腹腔鏡手術を施行し,嵌入した終末回腸を整復した.ヘルニア門の形態から,de novo型外鼠径ヘルニアの偽還納と診断した.腹膜の肥厚により精管,精巣動静脈の同定が困難であり,初回手術はヘルニア門の縫合閉鎖を行い,二期的に内鼠径輪の縫縮と精巣固定術を行う方針とした.術後経過は良好で,4か月後に鼠径部切開法による二期目手術を実施した.小児例は少ないが,鼠径ヘルニア嵌頓整復後の合併症として鼠径ヘルニア偽還納は考慮すべき病態である.診断には腹部超音波検査が有用である.

  • 町野 翔, 二見 徹, 滝口 和暁, 三森 浩太郎, 尾形 誠弥, 清水 裕史, 田中 秀明
    2026 年62 巻1 号 p. 85-91
    発行日: 2026/02/20
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    2歳,男児.間欠的腹痛,嘔吐を認め当科紹介された.腹部超音波検査でechogenic inner rimを呈する58 mmの囊胞を認め,消化管重複症が疑われた.翌日囊胞径は30 mmまで縮小したことに伴い症状も改善したため,一度退院した.しかし,1週間後に腹痛が再燃し病変は63 mmまで増大が認められたため,翌日緊急手術を行った.腹腔内には臍から連続した索状物とそれに続く囊胞を認め,腸管側はMeckel憩室と連続し,基部で捻転していたことから,囊胞とともに回腸部分切除術を施行した.病理では,囊胞は虚血をきたした腸管構造を呈していた.Meckel憩室と交通する臍腸管囊胞の報告は少なく,本症例の経過中における囊胞径の変化はその交通によって説明される.このような病態では,囊胞の虚血や穿孔,また腸閉塞をきたし得るため早期手術が必要である.

  • 楯川 幸弘
    2026 年62 巻1 号 p. 92-96
    発行日: 2026/02/20
    公開日: 2026/02/20
    ジャーナル オープンアクセス

    【症例】7歳,女児.臍から下腹部にかけ膨隆を認め,エコー,MRIにて左卵巣由来の囊胞性腫瘤で,一部充実成分を認め卵巣成熟囊胞性奇形腫が疑われた.腹腔鏡下卵巣腫瘍核出術を行い,病理所見で成熟奇形腫と診断され,術後3日目に退院となった.術後6日目に昼食摂取後に腹部に激痛を認め救急外来を受診した.腹部レントゲンで小腸ガス像を認めるが,造影CT検査では術後の変化と診断し緊急入院した.入院後嘔吐が続き,上腹部痛を訴えるようになった.術後10日目に開腹手術を行い,小腸同士で時計方向に180度捻転のため,捻転を解除した.Treitz靱帯は形成されず,回盲部から上行結腸,横行結腸右半側は後腹膜に固定されていなかった.盲腸から上行結腸を後腹膜に固定し,再手術後12日目に退院となった.

    【結語】左卵巣成熟囊胞性奇形腫に対して腹腔鏡下卵巣腫瘍核出術術後早期に発症した総腸間膜症に伴った小腸軸捻転の1例を報告した.

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