日本小児外科学会雑誌
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Gliomatosis Peritonei を伴った卵巣未熟奇形腫の1例 : 本邦小児報告例36例の検討
冨重 博一岸川 輝彰加藤 敬純堀内 格青野 眞治西川 宰西田 純久丹羽 隆史金剛 むつみ黒田 誠
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1994 年 30 巻 6 号 p. 1098-1105

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抄録

10歳の女児で gliomatosis peritonei を伴った卵巣奇形腫 (以下本症) の1例を経験した.術前,血清α-fetoprotein (以下 AFP), 血清 CA125 が高値を示した.奇形腫は組織学的 grade 分類が予後の判定に重要とされ,この分類に従うと原発巣が1, 播種巣が0であった.免疫組織染色ではAFP が弱陽性, CA125 が陰性であった. AFP の陽性部位は未熟な腺上皮であり,卵黄嚢癌の成分を認めないことから,産生部位は腺上皮にあると考えられた. CA125 の高値は多量の腹水貯留と gliomatosis peritonei による腹膜の異常が原因と考えられた.術後化学療法は施行しなかった.患児は現在術後24ヵ月になるが,再発もなく元気に通学している.われわれが調べ得た本症の本邦小児報告例36例について検討した.

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