1994 年 30 巻 6 号 p. 1145-1150
症例は5ヵ月男児.発熱・食欲低下・腹部膨満を主訴に入院した.腹部超音波検査で腹部全体を占める多嚢胞性病変が描出され,注腸造影では下行結腸が内側やや前方に圧排され横行結腸中央部で先細りとなりさらに口側には造影剤は進まなかった.引き続き行ったCT検査で結腸は嚢胞性腫瘍に挟み撃ちにされていた.結腸間膜より発生した巨大リンパ管腫が感染を合併したものと考えられ,抗生剤投与で炎症の鎮圧をはかった.しかし炎症は消退せず,入院第7病日に結腸間膜より発生した嚢腫を横行結腸とともに切除した.大きさ17×14×12cm,重さ1,120gで病理組織検査で嚢胞性リンパ管腫と診断された.腹部リンパ管腫には小腸間膜・結腸間膜・後腹膜由来のものがあり,部位診断には注腸造影および注腸CT検査が有用であった.