日本小児外科学会雑誌
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興味ある臨床像を示した小児虚血性小腸炎の1例
飯沼 泰史新田 幸壽
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1995 年 31 巻 6 号 p. 935-939

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抄録

小児の虚血性腸炎はまれであるが,今回我々は興味ある経過を示した虚血性小腸炎の1例を経験したので報告する.症例は8歳の女児、左上腹部痛と嘔吐で発症し,炎症性小腸狭窄の疑いで開腹術を施行した.臨床的には紫斑などの皮膚症状は伴わなかったが,手術所見では十二指腸から上部空腸に浮腫と発赤を認め,特に発赤が強く狭窄の主座と考えられた空腸を部分切除した.病理組織所見で小動静脈にleukocytoclastic vasculitis を認め, Henoch-Schonlein syndrome (以下 HSS)に類似した病態と考えられた.この病変は十二指腸から連続しており,残存病変の術後再燃が危惧されたが,消化管内視鏡所見で自然軽快が認められ,また臨床症状も著明に改善した.本症例はHSS特有の皮膚症状を欠くものの,その他の臨床像と病理組織所見がHSSに類似しており,興味深い症例と考えられた.

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