日本小児外科学会雑誌
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胆道閉鎖症術後経過観察における肝針生検
大谷 俊樹角田 晋駿河 敬次郎鈴木 徹也宮野 武
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キーワード: 胆道閉鎖症, 肝針生検
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1996 年 32 巻 4 号 p. 692-696

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抄録

これまで順天堂大学小児外科では, 胆道閉鎖症の経過観察のために血液検査, 超音波, シンチグラム, 上部消化管内視鏡検査等を行ってきたが, 更に組織学的検討を加えるため肝針生検を施行した. 対象は黄疸持続例, もしくは高度門脈圧亢進症合併例, すなわち将来肝移植が必要となりそうな10例とし, 針生検施行時年齢は0.8〜16歳である. 超音波ガイド下に 18G バイオプティーガンを用い, 同一点から2方向へ2検体を得た. 初回肝門部腸吻合時に比し, 全例で肝線維化の進行を, また10例中9例に小葉内胆移植の減少を認め, これらの症例では胆這閉鎖症の末期像に向かっていることが示された. また3例はほとんど paucity の状態であったが, 内1例は無黄疸例であった. また10例中9例においては2検体間でほぼ同様の所見を得られたものの他の1例では2検体間で著しく異なった結果, すなわち, 一つの検体では軽度肝線維化と Paucity を, もう一つの検体では高度線維化とほぼ正常数の小葉間胆管を認めた. 肝針生検は胆道閉鎖症の病態を捉える上で有用な手段ではあるが, 必ずしも肝の全体像を反映しておらず, あくまで, 他の臨床像, 検査との兼ね合いにおいて結果を判断することが, 肝要であると思われた.

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© 1996 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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