2001 年 37 巻 1 号 p. 83-87
小児における副肝管, 特に小児先天性胆道拡張症に合併した副肝管の報告は少ない.今回我々は小児先天性胆道拡張症に副肝管を合併した5歳女児の1例を経験したので報告する.副肝管は先天性の形成異常と考えられており, その発生頻度は1%前後と決してまれな肝管走行異常ではない.しかし, 本症の術前診断は困難なことが多く, 術中に副肝管の存在に気付かず損傷したり, あるいは結紮切離により, 術後胆汁性腹膜炎, うっ滞性肝不全などの致命的な合併症を引き起こす危険性がある.このような術後合併症を引きおこさないためには, 副肝管の存在を念頭においた慎重な術中操作に加えて, 副肝管が疑われるときは直接胆道造影による確認を行い, 手術方針を的確に判断し対処することが重要である.