2003 年 39 巻 1 号 p. 37-46
【目的】日本の津々浦々にまで正しい小児外科医療を広めるという専門医制度の目的の達成状況を検討し,少子化社会の中での小児外科専門医制度のあり方,対策について考察した.【方法】2000年国勢調査結果,専門医制度の現状をもとに,主として対象人口により比較を行った.【結果】対象小児人口・対象出生数の全国平均は,1認定施設あたり150,840人・9,018人,指導医1人当たり95,725人・5,723人,専門医1人あたり48,327人・2,889人であった.認定施設,指導医,専門医の分布には大きな地域的偏在があり,10倍もの対象人口の相違が見られた.認定医制度の過去の実績から,専門医制度の各単位は今後は増加しないと推測される.【結論】小児外科学会の採るべき対策は現状の地域的偏在の解消と,今後の少子化社会に対応できる専門医制度の改革の2つである.小さなグループの利害にとらわれず,小児外科という運命共同体としての意識を持って対策をとらねばならない.