2010 年 46 巻 6 号 p. 951-955
多発小腸閉鎖,結腸閉鎖を合併した腹壁破裂を経験した.在胎35週0日,出生体重1,952g,女児,緊急帝王切開にて出生し,当院に搬送された.腹壁欠損孔は約1cm大で,幽門より約30cmの空腸と回盲部より約10cmの上行結腸で離断型の腸閉鎖を認めたため,緊急で小腸閉鎖部で空腸瘻とし,結腸閉鎖は吻合,腹壁は一期的に閉鎖した.日齢94日の空腸瘻閉鎖術施行時には,結腸吻合部の約2cm肛門側に膜様閉鎖を,小腸は腸瘻肛門側で5か所の膜様閉鎖を認めたため,結腸は閉鎖部を切除吻合し,小腸は閉鎖部を一括切除し吻合した.術後経過は良好で,日齢153日に退院した.自験例は腹壁欠損孔で腸管が絞扼され血流障害を来したことが腸閉鎖の原因と考えられたが,離断型閉鎖以外にも多発の膜様閉鎖が認められており,ヘルニア門による圧迫が原因と思われる離断型の閉鎖の場合でも,多発閉鎖の可能性は念頭におくべきと考えられた.