日本小児外科学会雑誌
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超低出生体重児の重症胎便関連性腸閉塞症に対する外科的治療戦略
春本 研塩川 智司権 英寿山道 拓辻本 嘉助
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2011 年 47 巻 1 号 p. 20-25

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抄録

【目的】超低出生体重児の重症胎便関連性腸閉塞症(以下本症)に対し,イオパミロン^[○!R]注腸療法を行った.腸閉塞状態の改善が得られなかった症例に対して,拡張した腸管の減圧目的で,クベース内で局所麻酔下に腸管皮膚瘻造設術を行った.その有用性を含めた本症に対する治療戦略を検討した.【対象】平成15年1月〜平成20年4月の5年間で,当院NICUに入院となった超低出生体重児は114例.そのうち本症が疑われイオパミロン^[○!R]注腸療法を施行したのは27例であった.腸管皮膚瘻を含めた外科的治療を必要とした12例を対象とした.【結果】イオパミロン^[○!R]注腸療法に反応しなかった5例のうち,2例は穿孔前に腸管皮膚瘻を造設.2例とも減圧が得られ,1例は腸瘻を閉鎖できたが1例は閉鎖前に他病死した.他の3例はその後消化管穿孔を来し,このうち2例はdrainage後に人工肛門造設術を行い1例が生存,1例は死亡した.他の1例は腸管皮膚瘻造設術を行い生存.イオパミロン^[○!R]注腸療法前に穿孔した7例にはまずdrainage術を行った.7例中2例は自然治癒し救命,3例は全身状態の安定化が得られず死亡した.またその他の2例にそれぞれ人工肛門造設術,腸管皮膚瘻造設術を施行し,救命された.【結論】本症に対する腸管皮膚瘻造設術は極めて低侵襲で,術後経過も良好であり,有用な治療戦略である.また消化管穿孔を来した症例では腹腔drainage術のみならず,時期を逸さずに人工肛門造設術や腸管皮膚瘻造設術を適切に選択することで救命率向上が期待される.

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