抄録
症例は8 か月の男児.玩具から取り出した直径1 cm のコイルを誤飲したが,病院を受診せず経過観察されていた.3 日後に経口摂取が不良となり,当院を紹介受診した.コイルは食道内腔に形成された肉芽内にステント様に埋没し,フォーリーカテーテルや内視鏡を用いた摘出は困難であった.初回摘出操作時の食道粘膜の損傷,浮腫の消退を数日間待機し,内視鏡下での摘出を再度試みた.まず,食道拡張用バルーンダイレーターをコイルの内腔で拡張させることで食道壁を伸展し,肉芽を圧排することによりコイル全形が直視可能となった.その後,把持鉗子で牽引することでコイルを摘出し開胸手術を回避し得た.食道異物の多くはカテーテルや内視鏡を用いて摘出可能だが,異物の形状や食道壁内への迷入により摘出困難となることもある.その様な症例に対しては手技に工夫が必要であり,本症例ではバルーンダイレーターを用いた食道拡張により内視鏡摘出が可能となった.