2017 年 53 巻 7 号 p. 1320-1323
女児鼠径ヘルニアにおいて,ヘルニア内容として両側付属器および子宮が脱出するものは0.3%とされ,非常に稀である.症例は1歳1か月の女児,生後1か月から右鼠径部膨隆を認め,術前の超音波検査でヘルニア内容を確認し得たが,術直前の触診所見から,手術に混迷を来し,注意を要した症例を経験した.Potts法にて手術を施行した.本症の発生機序としては,①付属器が脱出する際に子宮広間膜が牽引され子宮および対側卵巣が脱出する.②子宮,卵巣の固定靭帯の脆弱性.③過剰な腹圧.④内鼠径輪の拡大などが指摘されている.鼠径ヘルニアの原因として真性半陰陽に伴うものや単角子宮に伴うものの報告もあり,ヘルニア内容の確認は確実に行われるべきである.自験例のようにヘルニア囊を開放し直視下で確認すること,もしくは腹腔鏡による観察が最も確実と考えられる.