日本小児外科学会雑誌
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6. 肺組織迷入と左高位腎を伴う新生児横隅膜弛緩症の治験例(第 5 回日本小児外科学会関東甲信越地方会)
古品 信彦高橋 勝三徳永 剛鈴木 昇重陳 維嘉
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1971 年 7 巻 3 号 p. 250-251

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抄録
(1)この例は新生児期に重篤な症状を示した横隔膜弛緩症で, わが国では鈴木の1例を知りえたに過ぎない。1才以下の乳児手術例は20例である。(2)左腎のHigh renal ectopiaの合併をみたが, わが国では内野の例をみるにすぎない。(3)横隔膜に肺組織の迷入をみとめたが, これは横隔膜弛緩症の原因として注目に値する。肺形成異常は横隔膜奇形と合併することが多いが, 腸組織が横隔膜に迷入(広議のSequestration?)を認めた例の報告はBermanの記載があるが, わが国でこの点に注目した報告を知らない。(4)左肺に高度の形成不全を認めたが, 別に新生児期死亡の横隔膜弛緩症の症例(ヘルニア嚢をもつ横隔膜ヘルニアとの区別はむつかしいが)と胸腹裂孔ヘルニアでヘルニア嚢のない新生児期の死亡例について肺の重量と組織学的所見を施した。重量は前者で右健側7.5g, 左患側4gで, 病理組織学的に未熟性を示した。後者は健側右肺は12g, 左患側5gで病理学的に未熟性はない。これらの様に症例により形成不全の量的, 質的差異はあるが, 予後と関係して肺形成不全と注目をするべきである。
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