抄録
本研究では、東日本大震災後の災害ボランティア体験が、その後の若者の価値観や幸福感にどのような影響を与え、変容していくのかを明らかにする。先行研究における幸福・災害・若者に関する概説を踏まえ、本研究の対象者を「震災直後の1 年間に災害ボランティア活動に従事した若者」とした。対象者にインタビュー調査を実施し、M-GTA(修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ)を用いて価値観の変容過程を分析した。分析から、災害ボランティア活動を行った若者は、不確実性の高い災害現場において自律的な行動の連鎖を起こしており、価値観の変化につながっていることが明らかになった。変化後の価値観として、自己実現、人間関係、利他的行為のための行動の重要性が強化されていた。これらの行動は、幸福感に寄与することが先行研究から明らかにされている。