抄録
本論考は、日本の港湾労働市場に関して地方港湾に焦点を当て、新潟港と小名浜港を対象に、労働組合の労組労供事業がどのように労働力需給の調整と労働条件の改善に貢献しているかを具体的に分析することを通じて、モーダルシフトにおける地方港湾労働組合の役割と市民組織としての労働組合の意義について検討した。分析では、地方港における労働力需給の調整に貢献している新潟港と小名浜港の労組労供事業の実践事例を通じて、労働組合が主体的に労働力供給を管理し、労働条件の改善に向けた積極的な取り組みをおこなっていることを明らかにし、労働組合が地方港における物流機能の維持において果たすべき役割を示した。本研究は地方港湾労働市場の課題解決に向けた政策形成において、労働組合の役割を再評価する必要性を強調し、具体的な政策提言の基盤を提供するものである。