抄録
移植肺気管支の粘膜下血流再開動態をベットサイドで観察する目的で, fluorescein-assisted bronchofiberscopic imaging (FABI)を犬肺移植実験後経日的に施行し, その所見の推移をpostmortem angiographyと比較検討した。その結果, Cyclosporine A使用同種肺移植犬群において術後3日目に吻合部末梢側気管支粘膜の一部に気管支動脈の新生を認め, 術後14日以降に全周, 全層に及ぶ気管支動脈再生が認められた。一方, 気管支動脈再生のなされていない移植術直後から移植肺末梢亜区域支レベルには粘膜下血流が存在し, この血流は経日的に気管支中枢側に伸展, 拡大し術後7日目頃には葉支レベルにまで至り, 粘膜下の気管支動脈新生領域に連続する様に観察された。この, 移植肺末梢に観察される術後早期の気管支粘膜下血流は, 肺静脈を起源とする気管支静脈叢の血流である事が示唆された。