気管支学
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目次
巻頭言
追悼
委員会報告
論評
原著
  • 吉田 有貴子, 山田 範幸, 畠山 酉季, 水上 泰, 水柿 秀紀, 朝比奈 肇, 横内 浩, 安達 大史, 大泉 聡史
    2025 年47 巻4 号 p. 361-366
    発行日: 2025/07/25
    公開日: 2025/07/25
    ジャーナル フリー

    背景.超音波ガイド下経気管支針生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration;EBUS-TBNA)は肺癌のN因子診断において有用性が高いが,肺内リンパ節病変の診断に関しての報告は少ない.方法.当院でBF-UC290Fを用いて左上区の肺内リンパ節に対してEBUS-TBNAを試みた4症例を後方視的に検討した.結果.標的としたリンパ節は亜区域気管支周囲リンパ節(#14)1例,区域気管支周囲リンパ節(#13)3例であった.リンパ節の描出は4例ともに可能であったが,#14リンパ節の穿刺は不可能であった.穿刺可能であった3例ではいずれも病理診断が得られ,1例では遺伝子パネル検査の提出も可能であった.穿刺不能の1例はその他3例と比較して,気管支内腔が狭く,穿刺の可否と気管支内腔最短径の関連が考えられた.結論.左上区の肺内リンパ節に対しても,BF-UC290Fを用いたEBUS-TBNAは有用な検査となりうる.

症例
  • 羽藤 泰, 鹿島田 寛明, 山口 雅利, 井上 慶明, 福田 祐樹, 森山 岳, 植松 和嗣, 菊地 由季菜, 東 守洋, 河野 光智
    2025 年47 巻4 号 p. 367-373
    発行日: 2025/07/25
    公開日: 2025/07/25
    ジャーナル フリー

    背景.肺原発血管周囲類上皮細胞腫瘍(PEComa)はまれな間葉系腫瘍である.これまでに90例の英文報告が存在するが,術前に気管支鏡検査で診断されることは少ない.症例.50歳代,女性.胸部単純X線写真で,左上肺野に17 mm大の結節を指摘されて当院を受診した.左肺S1+2cに存在する境界明瞭,辺縁整の結節であり,気管支鏡下生検を実施したところ,病理学的にPEComaが示唆される所見であった.Ki-67 indexは20~30%で,増殖速度が速い病変と考えられた.根治目的に,左肺上区域切除術を実施した.切除検体の病理組織所見からもPEComaであることが確認されたが,壊死や細胞分裂像が多くみられる点は良性とは断じがたく,慎重な経過観察が必要と考えられた.術後半年経過時点で再発なく生存中である.結論.肺原発PEComaの良悪性の判定に明確な基準はないため,生検で診断が得られた場合の切除範囲の決定は慎重な判断を要する.

  • 三澤 英介, 五十嵐 朗, 根本 貴子, 井上 純人, 細川 由佳, 横山 寿行, 渡辺 昌文
    2025 年47 巻4 号 p. 374-379
    発行日: 2025/07/25
    公開日: 2025/07/25
    ジャーナル フリー

    背景.肺MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫は胸部画像所見上多彩な陰影を示し,過去の報告では気管支鏡や経皮的生検での診断は困難とされているため,一般的には手術による診断が推奨されている.症例.83歳,女性.持続する血痰のため前医を受診し,胸部異常陰影を指摘されたため紹介となった.左肺上葉の浸潤影に対し経気管支肺生検を行ったが確定診断に至らなかった.ガイドシースを用いた経気管支クライオ生検を行い,肺MALTリンパ腫と診断した.結論.今回我々は気管支鏡ガイドシースを使用したクライオ生検で挫滅の少ない良質な検体を採取することができ,より低侵襲にMALTリンパ腫を確定診断することができた.今後肺野病変におけるMALTリンパ腫の診断において,ガイドシースを用いたクライオ生検が有力な検査方法と考えられる.気管支鏡による診断技術を向上させることができる1例を経験したので報告する.

  • 峯 慧輔, 谷口 寛和, 小野 沙和奈, 松尾 緑, 行徳 宏, 竹本 真之輔, 一瀬 将広, 黒濱 大和, 中武 美香, 迎 寛
    2025 年47 巻4 号 p. 380-384
    発行日: 2025/07/25
    公開日: 2025/07/25
    ジャーナル フリー

    背景.気管・気管支に発症するmucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫は非常に稀であり,診断・治療に関する症例の蓄積が重要である.症例.70歳台,男性.X-1年4月に胃MALTリンパ腫に対して放射線治療を施行された.Positron emission tomography-computed tomography(CT)で左主気管支周囲にも集積を認めたが,増大傾向なく経過観察された.X年9月に呼吸困難が出現し,胸部CTで左主気管支に高度気道狭窄が認められた.確定診断のために気管支鏡検査を行い,MALTリンパ腫と診断した.気道狭窄の解除のため,早急に局所放射線治療を行ったところ,気道狭窄は速やかに改善した.結論.緩徐進行性のMALTリンパ腫も気管内に発生することで高度気道狭窄を来すことがあり,注意を要する.

  • 今中 大起, 朝倉 充司, 鈴木 淳也, 佐藤 大輔, 四万村 三惠, 河内 利賢, 櫻井 裕幸
    2025 年47 巻4 号 p. 385-389
    発行日: 2025/07/25
    公開日: 2025/07/25
    ジャーナル フリー

    背景.術前の画像検査や気管支鏡により,気管支分岐異常を認識することは,解剖学的肺切除に於ける術前の評価として非常に重要である.症例.66歳,女性.6年前に左肺腺癌に対し手術を施行し経過観察を行っていたところ,右肺上葉にすりガラス型の結節を指摘,経時的に増大傾向を示した為,診断・治療目的に右肺S2区域切除術を行う方針とした.術前の胸部CT検査にて右中間気管支幹からのB2気管支単独分岐を認め,区域切除の際の解剖学的異常に留意した.結果.胸腔鏡補助下での手術を施行した.B2は上葉気管支幹からではなく右中間気管支幹から分岐していた.周囲解剖を確認した後,自動縫合器でB2を縫合切離し,有害事象なく手術を終了した.結論.気管支分岐異常を伴う解剖学的肺切除の際には,術前にCTや3D-CT再構築画像によって気管気管支及び肺血管の分岐に関して情報共有を行い,術式を充分に検討することで,より安全に手術を行うことが可能である.

  • 江上 正史, 岩破 將博, 國松 勇介, 今里 優希, 片山 勇輝, 西岡 直哉, 森本 健司, 山本 千恵, 加藤 健, 森永 友紀子, ...
    2025 年47 巻4 号 p. 390-395
    発行日: 2025/07/25
    公開日: 2025/07/25
    ジャーナル フリー

    背景.小細胞肺癌は一般に急速な進行を示すが,気管支内進展を認める場合がある.症例.99歳男性.近隣の医療機関で胸部異常陰影を指摘され,当院に紹介受診した.胸部CTで右中葉に気管支に沿った分葉状腫瘤影を認めた.FDG-PET-CTで腫瘤に強いFDG集積を認めた.腫瘤影が気管支に沿って増大しており,アレルギー性気管支肺真菌症等による炎症性集積が疑われた.確定診断のために実施した気管支鏡検査で,気管支内腔を壊死様物質が閉塞していた.採取組織の病理組織学的検査により小細胞肺癌cStage IIIAと診断した.高齢であり,化学療法は行わず,無治療経過観察となった.結論.気管支に沿って進展する分葉状腫瘤影は,画像診断のみでは鑑別が困難なことがあり,確定診断には気管支鏡検査が極めて有用である.

  • 濱田 健太郎, 池上 達義, 河内 寛明, 矢本 真子, 深尾 あかり, 阪森 優一, 寺下 聡, 渡邉 創, 杉田 孝和
    2025 年47 巻4 号 p. 396-400
    発行日: 2025/07/25
    公開日: 2025/07/25
    ジャーナル フリー

    背景.心膜結核腫は心膜結核の極めて稀な病型で,心囊水を欠き,診断には通常外科的生検を要する.症例.67歳女性.主訴は微熱,寝汗で近医にて心膜病変を疑われ精査目的に当院へ紹介となった.CTで心右側の心膜に腫瘤性病変を認め,右下部気管傍リンパ節(#4R)腫大もみられた.心囊水貯留や肺野病変は認めなかった.心膜腫瘤に対する経皮的生検は位置的に困難と考えられたため#4Rの超音波気管支鏡ガイド下針生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration;EBUS-TBNA)を行った.病理組織では壊死を伴う類上皮肉芽腫を認め,穿刺針洗浄液の結核菌PCRが陽性であり,インターフェロン-γ遊離試験陽性と合わせて縦隔リンパ節結核・心膜結核腫と診断した.標準抗結核療法を6か月間行い治癒した.結論.心膜結核腫の診断にEBUS-TBNAが有用であった症例を経験した.

  • 吉永 忠嗣, 井窪 祐美子, 東海林 寛樹, 井村 慎吾, 高垣 菜々子, 岩本 真一, 小堀 朋子, 笠井 昭吾, 阿部 佳子, 大河内 ...
    2025 年47 巻4 号 p. 401-406
    発行日: 2025/07/25
    公開日: 2025/07/25
    ジャーナル フリー

    背景.肺梗塞は肺動脈の閉塞により引き起こされる肺実質の壊死である.非典型的な所見を示すことがあり,見逃されやすい疾患とされている.胸部CT所見が診断の契機となり,外科的肺生検が行われることがあるが,経気管支肺生検により診断された症例の報告は稀である.症例.51歳女性で,約4か月前より咳嗽や右側胸部痛を自覚し前医を受診した.胸部CTで右肺下葉にconsolidation,すりガラス状陰影およびreversed halo signを認め,特発性器質化肺炎と臨床診断された.ステロイドの投与を行ったが,陰影は改善せず,空洞影を伴ったため,当院を初診した.結果.気管支鏡検査をし,経気管支肺生検で出血性壊死に陥った肺胞組織を認めた.その後,造影CTで下大静脈に血栓を認め,病理所見と合わせて肺梗塞が疑われた.抗凝固療法により陰影は改善した.結論.胸部CTでreversed halo signや空洞影が見られた場合,肺梗塞を考慮する必要がある.診断に経気管支肺生検が有用である可能性がある.

  • 三股 頌平, 平田 朋久, 若原 純一, 上田 雄一郎, 宮原 聡, 中島 裕康, 増田 佳子, 早稲田 龍一, 白石 武史, 佐藤 寿彦
    2025 年47 巻4 号 p. 407-412
    発行日: 2025/07/25
    公開日: 2025/07/25
    ジャーナル フリー

    背景.近年,小型肺癌に対する縮小手術の機会が増えているが,術中の腫瘍の局在把握及び切除マージンの確保がしばしば問題となる.症例.43歳,男性.咳嗽を主訴に近医を受診,CTで左肺上葉S1+2に9 mm大のすりガラス結節を指摘され当院へ紹介された.肺癌を否定出来ず,診断及び治療目的に手術の方針となった.上皮内癌を疑い,積極的縮小手術の適応と考え,経気管支マーキング補助下に亜区域切除を施行した.病変を腹側,背側から挟むようにradiofrequency identification(RFID)タグを2か所留置し,胸腔鏡下に病変を完全切除した.結論.RFIDタグを用いた経気管支マーキングが切除範囲の決定に有用であったS1+2c亜区域切除術の1例を経験した.腫瘍の位置にRFIDタグを留置するのみでなく,切除のマージンとなる位置に留置することでより精密な肺切除が可能になると考えられた.

  • 村尾 大翔, 田中 博之, 荻須 智之, 西﨑 詩織, 深見 正弥, 松永 望, 鈴木 耕次郎, 谷口 奈都希, 尾関 直樹, 伊藤 理
    2025 年47 巻4 号 p. 413-418
    発行日: 2025/07/25
    公開日: 2025/07/25
    ジャーナル フリー

    背景.気管支カルチノイドに対して,経気道的内視鏡切除術が選択されることがある.症例.65歳男性の現喫煙者.右下葉の閉塞性肺炎を期に,気管支腫瘍が発見された.気管支鏡検査では右B6を閉塞する平滑な腫瘤を認め,生検により定型カルチノイドと診断した.胸部CT(computed tomography)では左上下葉にもすりガラス結節を認め,経気管支鏡生検で肺腺癌と診断した.肺腺癌の根治切除を考えたが,肺気腫と気管支狭窄により低肺機能を来していた.そこで,肺機能温存のためカルチノイドに対する経気道的内視鏡切除術を選択した.出血合併症を予防するため,気管支動脈塞栓術(BAE)を行った後,軟性気管支鏡を用いたカルチノイドの経気道的内視鏡切除を行った.カルチノイドの切除により呼吸機能が改善したため,重複していた対側肺癌を外科的に切除することができた.結論.気管支カルチノイドに対する経気道的内視鏡切除に先行して,BAEを施行することは,腫瘍切除に伴う出血合併症を軽減できる可能性がある.

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