気管支学
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表紙
会告
目次
巻頭言
論評
原著
  • 北田 正博, 安田 俊輔, 阿部 昌宏, 岡崎 智, 石橋 佳, 南 幸範, 奥村 俊介, 佐々木 高明, 山本 泰司, 大崎 能伸
    2020 年 42 巻 3 号 p. 215-222
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/06/18
    ジャーナル フリー

    はじめに.光感受性物質である5ALA(アミノレブリン酸)と自家蛍光を併用した胸膜悪性病変に対する診断法の開発を行った.体外より摂取した5ALAは,ヘムの前駆体であるprotoporphyrin IXに代謝され悪性細胞内に留まり,630 nm程度の赤色蛍光を呈する.5ALAの経口投与後(手術4時間前,20 mg/kg),胸膜悪性病変の観察を行った.対象と方法.2017年1月より2019年4月まで胸膜浸潤が疑われた肺癌82例,転移性肺腫瘍32例,悪性胸膜中皮腫7例,胸腔内良性疾患9例の合計130例に対し本手技を施行した.本研究は前方視的研究として施行した.結果.1)悪性病変では赤色蛍光が認識され,蛍光発色観察可能例は,転移性肺腫瘍で90.6%,悪性胸膜中皮腫で85.7%であった.2)肺癌胸膜浸潤診断は,pl0かpl1以上に対する感度は,肺腺癌に限ると感度93.9%,特異度74.3%,陽性的中率60.8%,陰性的中率96.2%であった.蛍光観察可能なpl0の88.9%が術前PL1と診断した症例であった.3)胸膜播種性病変6例のうち,2例は視認困難な症例であった.結論.胸膜近傍で胸膜浸潤を疑う腫瘍性病変であれば,病変の局在診断が可能である.肺癌では胸膜浸潤陽性例の手術方針を検討すべき診断となる.また,視認困難な胸膜播種診断にも寄与する可能性がある.

  • 澤岡 亜衣, 高村 圭, 山本 岳, 菊池 創, 山本 真
    2020 年 42 巻 3 号 p. 223-227
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/06/18
    ジャーナル フリー

    背景.肺癌と肺アスペルギルス症の合併についての報告が国内でも散見されるようになってきているが,詳細はまだよくわかっていない.目的.肺癌と肺アスペルギルス症の合併例の臨床・画像的特徴を検討すること.対象と方法.2013年から2018年の6年間の当科における肺癌症例1149例のうち肺アスペルギルス症を合併した症例.背景因子のほか,合併時期,診断方法,治療方法,画像所見などについて後方視的に検討した.結果.合併症例は6例であった.男性5例,女性1例.全例が60歳以上であった.全例喫煙歴を有し,悪性腫瘍の治療の既往や副腎皮質ホルモンの投与があった.肺癌と肺アスペルギルス症の同時診断例が4例,肺癌治療後に肺アスペルギルス症を発症した例が2例で,肺アスペルギルス症の先行例は認めなかった.肺アスペルギルス症の画像は空洞に菌球を伴ったものが4例,類円形の腫瘤状影が1例,気管支拡張像が1例であった.肺癌治療後に生じた2例は,いずれも治療後の変化部位に菌球を伴った空洞性陰影として認められた.結論.肺癌と肺アスペルギルス症の合併については,喫煙やステロイド投与など全身に影響を及ぼす機序や治療後の遠隔合併症による機序が推測された.

症例
  • 横山 佑衣子, 横山 俊彦, 高納 崇, 谷本 光希, 町井 春花, 青山 大輔, 若松 学, 坂口 大俊, 吉田 奈央, 野村 史郎
    2020 年 42 巻 3 号 p. 228-233
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/06/18
    ジャーナル フリー

    背景.肺ムコール症は免疫不全状態において急速に進行する予後不良な深在性真菌症である.症例.8歳,女児.再発性急性骨髄性白血病に対する寛解導入療法中,急速に増大する左下葉の広範な浸潤影が出現した.気管支鏡検査にて左下葉支内腔に巨大な白色隆起性病変を認め,生検にて肺ムコール症の診断に至った.診断当初,手術は困難と判断し,アムホテリシンBリポソーム製剤の全身投与に加え,アムホテリシンBの経気管支注入療法を複数回行った.しかし効果は乏しく,経時的な気管支内腔観察にて病変は上葉支からも確認できるまで進展した.骨髄機能の回復後,左肺全摘術を施行し,以後ムコール症の再発なく経過している.結論.経気管支生検にて診断し得た肺ムコール症の1例を経験した.本症は早期に診断し,抗真菌薬投与に加え積極的に外科的治療を行うことが重要である.

  • 森本 康弘, 合地 美奈, 稲木 俊介, 新井 宏和, 古部 暖, 斉藤 晋, 柴田 駿, 髙木 正道, 桑野 和善
    2020 年 42 巻 3 号 p. 234-239
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/06/18
    ジャーナル フリー

    背景.インフルエンザ感染は,基礎疾患をもつ患者では二次性細菌感染を起こし重症化し得る.症例.69歳女性.1型糖尿病加療中に糖尿病性ケトアシドーシスをきたし入院した.入院後にB型インフルエンザ感染が判明し,細菌性肺炎併発を認めたためアンピシリン/スルバクタムを投与したが,浸潤影の拡大を認めた.胸部造影CT検査では造影不良域を伴う浸潤影を認め,肺化膿症と判断した.気管支肺胞洗浄液よりCapnocytophaga sputigenaが同定されたため起因菌と判断し抗菌薬をピペラシリン/タゾバクタムに変更したところ,肺野陰影は改善した.結論.易感染性を有する宿主の発症したインフルエンザウイルス感染に合併した細菌感染症では,宿主の易感染性も影響してCapnocytophaga spp.も起因菌になり得る.

  • 鈴木 寛利, 渋谷 丈太郎, 半田 政志, 鈴木 俊郎, 矢吹 皓, 山田 剛裕, 小塩 弘樹, 小林 公彦, 長野 裕充, 石田 和之
    2020 年 42 巻 3 号 p. 240-244
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/06/18
    ジャーナル フリー

    背景.肺アスペルギルス症に空洞切開術を施行した場合,気管支瘻,気管支肺炎による痰排出が持続し切開部の管理に難渋することがある.さらに気管支動脈が発達し気道出血が生じ得る.肺切除は合併症の観点から慎重にならなければならない.一方,EWSによる気管支充填術が気管支瘻に有効であり,気管支動脈塞栓術が気道出血の対策となり得る.症例.60歳女性.右肺上葉肺アスペルギルス症のため気管支鏡にて病巣へ抗真菌薬の投与を継続していたが改善せず,当科へ紹介され右肺上葉空洞切開菌塊除去,開窓術を施行した.術後気管支瘻による咳嗽困難と労作時息切れがあり,開窓部を活用して複数回の気管支充填術を施行した.気漏は減少し,咳嗽困難と労作時呼吸困難感は軽快した.さらに開窓部を粘着弾性包帯にて被覆し,気道内圧を保持することで外来通院可能とした.開窓部のガーゼ交換を継続していたが,気道出血が生じたため気管支動脈塞栓術を施行し軽快した.結論.肺アスペルギルス症術後にEWSによる複数回の気管支充填術,気管支動脈塞栓術を行うことで気管支瘻と気道出血を制御し得た症例を経験した.

  • 松竹 豊司, 宮崎 拓郎, 木下 直江, 森田 十和子, 江原 尚美, 坂本 憲穂, 吉田 伸太郎, 福島 喜代康, 永安 武, 迎 寛
    2020 年 42 巻 3 号 p. 245-251
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/06/18
    ジャーナル フリー

    背景.グロムス腫瘍は平滑筋とグロムス小体からなる間葉系由来の腫瘍で,気管,気管支のグロムス腫瘍は非常に稀である.症例.喘息様症状を呈する56歳男性.呼吸機能検査では閉塞性障害を呈した.胸部CTでは左主気管支中枢側に径約15 mm程度のポリープ状腫瘤が認められ,3D-CT気道解析ソフトでは左主気管支の途絶像が認められた.気管支鏡検査では左主気管支中枢側に血管豊富なポリープ様腫瘤が認められた.胸部外科で硬性気管支鏡下のポリープ状腫瘤切除術と,その後左主気管支管状切除術+再建術が施行された.病理免疫染色ではα-smooth muscle actin陽性でグロムス腫瘍の診断であった.術後の胸部CT気道解析ソフトでは途絶していた左主気管支が元通り描出され呼吸機能検査で1秒率と呼吸抵抗は正常化した.結論.左主気管支グロムス腫瘍により喘息様症状をきたした稀有な症例を経験した.従来のCTとともに3D-CT気道解析ソフトは治療経過の評価に有用であった.

  • 近藤 泰人, 松浦 陽介, 一瀬 淳二, 中尾 将之, 奥村 栄, 文 敏景
    2020 年 42 巻 3 号 p. 252-255
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/06/18
    ジャーナル フリー

    背景.近年,高解像度CTの普及で小型肺病変の発見が増加し,様々なマーキング法が試みられている.今回我々は術中気管支鏡マーキングが有用であった1例を経験したため報告する.症例.68歳男性.直腸癌,肝転移の術後経過観察中,CTで右肺S6に単発5 mmの小結節を認め,転移性肺腫瘍の疑いにて当科紹介,手術の方針となった.CT上,腫瘍は右S6c縦隔側に認められた.腫瘍の局在から部分切除は困難であり,右S6区域切除を計画したが,腫瘍が比較的区域間に近いことが問題視された.そこで,腫瘍近傍を走行するB6cに術中に気管支鏡を末梢まで挿入し,胸膜面から確認された気管支鏡先端の光をガイドに,区域間切離ラインを決定し,右S6区域切除術を施行した.区域間からの切除マージンは16 mmだった.結論.症例を選択すれば,本法は従来法と同等な非侵襲的気管支鏡マーキングとして有用であると考えられた.

  • 設楽 将之, 横田 圭右, 川野 理, 深井 一郎
    2020 年 42 巻 3 号 p. 256-259
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/06/18
    ジャーナル フリー

    背景.気管支鏡検査や胸部CT普及に伴い気管支分岐異常が発見される頻度が増えている.症例.68歳女性.検診で胸部異常影を指摘され当科紹介.胸部CTにて右上葉から中葉にかけて存在する40 mm大の不整形陰影を認め,高分化腺癌が疑われた.また,右肺の気管支に分岐異常がみられ,上葉支と中葉支が共通幹となっていた.手術による診断治療の方針とし,右上中葉にまたがって病変が存在するため右上中葉切除の方針とした.手術.上葉支および中葉支はA1+3と上肺静脈の間から共通幹となって分岐していた.動静脈を処理した上で,上葉支および中葉支の共通幹の根部で切離,右上中葉を摘出した.結論.右上葉支と右中葉支が共通幹となり,A1+3と右上肺静脈の間から分岐しており,あたかも左肺の気管支,肺動脈走行と対称性(mirror image)であった.自験例と同様の気管支分岐異常はこれまで3例の報告例があるのみで,非常に稀である.

  • 野々村 遼, 田畑 俊治, 大島 穣, 佐々木 高信, 三友 英紀, 石橋 直也, 菅原 崇史, 佐川 元保, 近藤 丘
    2020 年 42 巻 3 号 p. 260-263
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/06/18
    ジャーナル フリー

    背景.孤立性気管支腺上皮型乳頭腫は稀な疾患である.本邦で2000年から2019年までの20年間において,自験例を含めて4例のみの報告である.そのため,治療のコンセンサスが十分に得られていないのが現状である.症例.61歳女性.5年前から他院で気管支喘息と診断され加療されていたが,症状の改善はなかった.200X-1年1月の健診で異常陰影を指摘され,CT上,左主気管支内腔に突出する腫瘍を認め,当院を紹介受診した.気管支鏡検査では,左主気管支内腔を90%狭窄するポリープ状の腫瘍を認めたが,極細径気管支鏡による狭窄部の末梢気管支の観察は正常であった.生検組織検査では,気管支腺上皮型乳頭腫と診断された.経過観察中に増大を認め,ヒトパピローマウイルス感染との関連性がなく,潜在的な悪性素因を持ち合わせないため,気管支鏡下にスネアによる切除とアルゴンレーザー焼灼を施行した.術後2カ月後の観察では腫瘍の残存は認めず,症状の再燃もない.結論.孤立性気管支腺上皮型乳頭腫に対して,気管支鏡下に高周波スネアを用いて安全に切除できた1例を経験した.

  • 吉村 竜一, 坂口 浩三, 二反田 博之, 田口 亮, 栁原 章寿, 梅咲 徹也, 石田 博徳
    2020 年 42 巻 3 号 p. 264-268
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/06/18
    ジャーナル フリー

    背景.気管憩室は気管の形態異常である.近年は画像診断技術の向上により報告例が散見されるようになったが,多発例は比較的稀である.症例.58歳男性.主訴は胸部CT異常像.咳嗽症状精査の胸部CTで気管近傍に異常像を認め,縦隔気腫の疑いで紹介受診した.胸部CTで気管右背側と気管分岐部に囊胞性病変を2か所認めた.気管支鏡検査では気管右背側と気管分岐部にそれぞれ小孔を認め,多発気管憩室と診断した.咳嗽症状は咳喘息と診断し,禁煙指導のうえ鎮咳薬,吸入ステロイド薬/長時間作用型β2刺激薬を開始し,症状は消失した.初診より2年5か月後の胸部CTで憩室の増大を認めず,自覚症状もなく経過観察中である.結論.咳喘息に合併した多発気管憩室の1例を経験した.気管憩室は咳嗽・痰といった呼吸器症状を契機に発見される症例もある.有症状の気管憩室症例では,背景疾患の検査・治療が重要と思われた.

  • 鈴木 歩, 宮内 栄作, 成田 大輔, 相澤 洋之, 東條 裕, 小林 誠, 村上 康司, 山田 充啓, 杉浦 久敏, 一ノ瀬 正和
    2020 年 42 巻 3 号 p. 269-273
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/06/18
    ジャーナル フリー

    背景.原発性小細胞肺癌と診断された際に気管・気管支転移を認め,根治的化学放射線療法を実施できた症例報告はない.症例.59歳男性.咳嗽と検診の胸部X線写真で指摘された異常陰影を主訴に,前医を受診した.胸部CTで左下葉の無気肺と,左主気管支内に多発する不連続性の結節を認めたため,精査加療目的に当院へ紹介された.気管支鏡検査で気管と左主気管支に隆起性の結節が多発しており,生検組織診で小細胞肺癌と診断した.遠隔転移は認めず,限局型小細胞肺癌と診断し,化学放射線療法を施行した.治療後のCT・気管支鏡検査で多発転移巣は全て消失しており,治療開始から6か月後の現在も再発は認めていない.結論.気管・気管支内への多発転移が疑われた限局型小細胞肺癌に対し,化学放射線療法を行うことで根治的治療を行うことができた.

  • 分島 良, 栗原 泰幸, 武村 真理子, 髙﨑 千尋, 小島 勝雄
    2020 年 42 巻 3 号 p. 274-279
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/06/18
    ジャーナル フリー

    背景.肺切除後の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)および気管支瘻は,重篤な合併症として知られている.症例.76歳の女性.肺癌に対して胸腔鏡下右下葉切除術を施行した.術後2病日に食道裂孔ヘルニアが影響したと考えられる誤嚥性肺炎を契機にARDSを発症した.治療として人工呼吸器管理,ステロイド治療,抗菌薬治療を行った.症状の改善を認め人工呼吸器を離脱したが,経過中に急激な皮下気腫の出現を認め,気管支鏡検査にて右中葉B4の瘻孔を認めて気管支瘻膿胸と診断した.手術中のソフト凝固の使用,人工呼吸器管理,感染,ステロイドの使用が影響したと考えられた.右中葉気管支にEndobronchial Watanabe Spigotを挿入することで,エアリーク,感染ともに改善し,治癒に至った.結論.肺切術後に気管支断端とは異なる部位での気管支瘻を経験した.Endobronchial Watanabe Spigotによる保存的加療を選択し,治癒せしめた.

  • 上村 豪, 上田 和弘, 梅原 正, 武田 亜矢, 前田 光喜, 青木 雅也, 永田 俊行, 横枕 直哉, 狩集 弘太, 佐藤 雅美
    2020 年 42 巻 3 号 p. 280-284
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/06/18
    ジャーナル フリー

    背景.食道気道瘻の治療は手術,内視鏡的治療(食道側・気管支側アプローチ)が挙げられるが,治療に難渋する.今回,食道胃接合部癌術後の食道気道瘻に対し食道側アプローチと,気管支側アプローチとしてEndobronchial Watanabe Spigot(EWS)を組み合わせ瘻孔閉鎖を得られた症例を経験したので,報告する.症例.食道癌術後の76歳男性.20XX年5月に,食道胃接合部癌で,腹部食道胃全摘,脾胆囊切除,食道空腸吻合を施行された.20XX+2年から食事中に咳嗽・喀痰を認め,食道気道瘻と判断した.その後,食道側より内視鏡用クリップ,コイル+ヒストアクリル充填術を試みるも改善なく,カバー付きステントは違和感が強く抜去した.20XX+4年10月に食道気道瘻に対しEWSによる気管支充填を行った.経鼻胃管よりインジゴカルミン液を注入し,責任気管支を同定後,EWSで気管支充填を行った.充填術後は喀痰排出が著明に減少した.その後,内視鏡的に食道側からのインターベンションで瘻孔閉鎖が得られた.結論.末梢気道に生じた瘻孔に対して食道側・気管支両側からの内視鏡的治療を組み合わせることは非常に有用であり,その中でEWSは食道気道瘻閉鎖に有効であった.

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