気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
気管支ファイバースコープ下エタノール注入療法の有用性
野本 靖史藤沢 武彦山口 豊柴 光年馬場 雅行門山 周文山川 久美斎藤 幸雄ト部 憲和木村 秀樹
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 12 巻 3 号 p. 247-253

詳細
抄録

中枢気道の狭窄性病変・出血性病変29例, および肺末梢病変3例に対し, 気管支ファイバースコープ下エタノール注入療法(Bronchofiberscopic Ethanol Injection=BEI)を施行し, 以下の結果を得た。(1)出血に対する止血作用は強力で, 100%有効であった。(2)気道内腔にポリープ状に突出する腫瘍に対しての気道開大効果も大きかった。(3)速効性の点ではNd : YAGレーザー照射に劣ると思われた。(4)壁外腫瘍の圧排による気道狭窄例では気道開大効果はほとんど得られなかった。(5)合併症は注入部位から漏出したエタノールにより惹起された咳嗽以外認められなかった。(6)末梢病変に対する腫瘍縮小効果は, 1例のみ認められたが, エタノール注入の方法・量など検討すべき点は多いと考えられた。(7)BEIは高価な機器を必要とせず操作も容易であり, 適応を選べば, 中枢気道の狭窄性病変・出血性病変に対する極めて有効な内視鏡下治療の一手段であると考える。

著者関連情報
© 1990 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top