気管支学
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中葉症候群を呈した肺サルコイドーシスの 1 例
戸野塚 博水越 和夫川井 俊郎
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1991 年 13 巻 2 号 p. 165-170

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抄録
32歳の女性が咳嗽, 喀痰を主訴に来院した。胸部X線写真にて両側肺門リンパ節腫大, 右中葉無気肺, 左上葉の含気低下を認めた。胸部CTにて著明な縦隔リンパ節の腫大を認めた。気管支鏡では気管, 気管支粘膜の発赤, 腫脹, 毛細血管の怒張に加え, 中葉入口部の壁外性圧排による閉塞が確認された。気管支粘膜生検にてラングハンス氏巨細胞を伴った非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め, 肺サルコイドーシスを強く疑った。鼠径部リンパ節生検, TBLBにても同様の組織所見が得られサルコイドーシスと診断した。経過中胸部X線像, 内視鏡所見の自然改善傾向はなく, プレドニソロン30mg/日のステロイド療法を開始し, 気管支粘膜病変の改善, 肺門縦隔リンパ節の縮小により無気肺の改善が得られた。サルコイドーシスによる気道狭窄で無気肺を来たした報告は本邦で4例と稀であるが, 中葉症候群等無気肺の原因の一つとしてサルコイドーシスは考慮すべき疾患であると考えられた。
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© 1991 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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