気管支学
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経気管支的肺生検にて確診した原発性肺クリプトコックス症の 1 例
松田 良平樋田 豊明杉浦 孝彦
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1991 年 13 巻 2 号 p. 193-196

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抄録

症例は50歳男性, 職業歴に特記すべきもの無く, 鳥の飼育歴, 接触歴もない。自覚症状なく, 検診にて胸部異常陰影として発見された。胸部X線写真上, 左下肺野の多発結節影を呈し, 同病変部のTBLBにてクリプトコックス菌体を証明した。明らかな基礎疾患, 免疫異常がなく, 他臓器への播種も認めず, 原発性肺クリプトコックス症と診断した。50日間の無治療経過観察にて改善が無く, フルコナゾール投与にて陰影の著明な縮小がみられ, 明らかな副作用は認めなかった。近年, 新しい抗真菌剤が開発され, その効果がかなり期待でき, 本症に対して長期にわたる無治療の経過観察や, また直ちに手術にふみきるという必要も無くなってきている。適切な抗真菌剤を選択し, まず内科的に治療を開始することが有用と考えられた。本例は, 肺真菌症の治療を考える上で興味ある症例であった。

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© 1991 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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