1991 年 13 巻 2 号 p. 204-208
一側肺全摘術後に発生した気管支断端瘻の症例に対して, 気管支鏡下にフィブリン糊の充填を試みたが, 無効であったため, 次に, 血管塞栓用コイルを瘻孔内に充填し, その間隙と表面に外科用接着剤ヒストアクリル^[○!R]を塗布したところ, 直ちに閉鎖し, 永続的な効果を得ることができた。術後の気管支断端瘻は適切な治療を行わなければ重篤な状態に陥ることが多く, 再手術を必要とする頻度が高い。しかし, 実際には腫瘍の進展, 再発, 全身状態の悪化などの理由で観血的治療法を行いえないことも多い。われわれが行った方法は通常の気管支鏡下に施行可能で, 操作も容易, かつ安全である。再手術が不可能な症例に対して, あるいは再手術を行う前の試みとして最適であると考えられた。