気管支学
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気管支全支擦過法施行例における局在部位診断困難例の検討
佐川 元保斉藤 泰紀佐藤 雅美菅間 敬治薄田 勝男高橋 里美永元 則義遠藤 千顕今井 督太田 伸一郎橋本 邦久須田 秀一藤村 重文
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1991 年 13 巻 5 号 p. 457-464

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抄録

気管支全支擦過法は, 内視鏡的に所見の把握が困難な例でも高い診断率が得られ, 喀痰細胞診陽性例に対する検査として極めて有効だが, 部位同定に難渋する例が少数ながら存在する。今回, 局在部位同定に際しての留意すべき点を検討するために, 部位診断困難例のX線所見, 気管支鏡所見などを分析した。1986年から1989年までに気管支全支擦過法を施行したもののうち, 部位同定までに3回以上の検査を要した部位診断困難例は11例であった。11例中肺癌は9例で, 2例は上気道癌であった。9例の肺癌では, 1例が気管支鏡可視範囲内で, 残りの8例は可視範囲外であった。8例中5例はCTでも無所見であったが, 3例はCTでretrospectiveに陰影を確認可能であった。陰影の存在した3例中2例は, 陰影が縦隔に近接していた。喀痰細胞診陽性の局在部位同定困難例の精査においては, 気管支鏡可視範囲外の肺癌と上気道癌に留意することが重要である。

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© 1991 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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