気管支学
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当科で経験した成人の先天性気管支疾患の診断と外科治療
小田 誠渡辺 洋宇清水 淳三林 義信太田 安彦渡辺 俊一岩 喬佐藤 日出夫
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1991 年 13 巻 5 号 p. 521-526

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抄録

教室で経験した成人の先天性気管支疾患8例の診断と治療法を検討した。内訳は, 食道気管支(E-B)瘻5例, 気管支胆道(B-B)瘻1例, 気管支閉鎖症(BA)2例である。E-B瘻の4例は女性で, 年齢は40, 41, 68, 72歳, 他の1例は58歳の男性である。B-B瘻は38歳の男性である。E-B瘻, B-B瘻の全員が2∿30年間の繰り返す呼吸器感染症状を有していた。BAの2例は, 25, 38歳の男性である。1例は幼少児期から繰り返す肺炎の既往を持つが, 1例は検診(無症状)で発見された。診断には詳細な病歴聴取が重要であり, 確定診断にはE-B瘻では食道造影と食道ファイバースコピー, B-B瘻, BAでは気管支造影, 気管支ファイバースコピーが有用であった。治療はE-B瘻では3例に瘻孔切除術を, 2例に瘻孔切除術に加え肺区域あるいは部分切除術を施行した。B-B瘻に対しては瘻孔切除術を施行した。BAの1例には, 肺葉切除術を, 他の1例には肺区域切除術を施行した。成人の先天性気管支疾患の治療にあたっては, 良性疾患であることから縮小手術を施行しており, 肺機能を温存した良好な結果を得ることができた。

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© 1991 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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