抄録
多様な慢性閉塞性肺疾患にみられる肺機能の異常と気道の構造上の変化との関係について系統的な病理学的な検討は, 最近まで十分にはなされなかった。この気道閉塞の分布と程度に関する研究の遅れは立体構築の解析技術の困難によるものと思われる。本稿では我々が新しく計算機支援による3次元像によって明らかにした末梢気道の正常像と, 閉塞の分布および気道狭窄の程度との比較を示した。また, この方法によって, びまん性汎細気管支炎, 閉塞性気管支細気管支炎などの慢性閉塞性肺疾患の気道閉塞部位の正確な部位を明らかにした。さらに病理学的に明らかにされ難かったある種の慢性閉塞性肺疾患が, これまで確かな病理学的な定義に拠らずに用いられていたsmall ariway diaseaseという概念に対応するものであることを示した。