抄録
当科にて経験した6例の気管支異物について検討した。異物の内訳は, 歯科関連物質が3例, キュウリ片, トウモロコシ粒, 魚骨がそれぞれ1例ずつであった。歯科関連物質3例は胸部単純X線写真にて診断されたが, その他3例は気管支鏡検査にて初めて診断された。異物の存在部位は5例が右肺で, また, 下葉気管支に存在した異物が4例であった。存在期間は誤嚥後数時間から1年であり, 長期に存在した症例では異物の周囲に肉芽の形成を認めた。全例に気管支ファイバースコープ検査を施行し, 生検鉗子にて摘出に成功した。気管支ファイバースコープによる摘出は患者の精神的, 身体的負担が軽度で, 外来で施行することも可能なため第一選択の治療と考えられた。