気管支学
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気管癌による気管狭窄に対して気管シリコンステントを用いた 1 例
土井 正男宮澤 輝臣倉田 宝保峯下 昌道
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1992 年 14 巻 6 号 p. 552-558

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抄録

右側頭部の転移性腫瘍摘除術を受けた55歳の男性が, 気管狭窄をともなうIV期の気管原発扁平上皮癌と診断された。腫瘍は気管末端から左主気管支にかけて約4 cmの範囲で結節状に隆起しており気管閉塞の可能性があった。治療としてYAGレーザーによる腫瘍除去術後に気道確保を目的として気管シリコンステントをDumon式の硬性気管支鏡を用いて挿入した。ステント挿入により確実な気道確保が得られ, 腫瘍に対して抗癌剤の気管支動脈注入とコバルト照射を安全に施行できた。挿入後4ヵ月間, 頭部転移の再発により死亡するまで気管の再狭窄は認めなかった。本法は中枢気道に狭窄を伴なう腫瘍性疾患の補助的治療として有用な方法と思われた。

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© 1992 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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