抄録
血痰, 喀血は日常診療においてしばしば遭遇する症状であり, 大量喀血になれば患者の生命にかかわり緊急な治療を必要とする。また気管支鏡下肺生検後に大量出血を来すこともあり, その処置に難渋することもある。一般に保存的治療無効の大量喀血に対しては, 気管支鏡を用いた止血法, 気管支動脈塞栓術, 手術療法が必要とされる。今回我々は, 緊急処置を必要とされた23例を含む喀血症例29例に対して, 気管支塞栓術として経気管支鏡的オキシセル綿充填術を施行した。29例中26例に, また緊急例23例中21例に十分な止血効果を得た。トロンビン注入療法無効例7例に対しても全例に有効であった。合併症として発熱, 閉塞性肺炎, 過換気症候群を認めたが, 重篤化した例はなく十分にコントロール可能であった。本法は喀血の緊急処置として極めて有用であり, 積極的に用いるべき方法と考えられる。