気管支学
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喀血症例に対する経気管支鏡的オキシセル綿充填止血術の臨床的検討 : 大量喀血症例を中心として
大橋 信之倉岡 敏彦住吉 秀隆木村 典子北口 聡一礒部 威
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1993 年 15 巻 6 号 p. 505-512

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抄録
血痰, 喀血は日常診療においてしばしば遭遇する症状であり, 大量喀血になれば患者の生命にかかわり緊急な治療を必要とする。また気管支鏡下肺生検後に大量出血を来すこともあり, その処置に難渋することもある。一般に保存的治療無効の大量喀血に対しては, 気管支鏡を用いた止血法, 気管支動脈塞栓術, 手術療法が必要とされる。今回我々は, 緊急処置を必要とされた23例を含む喀血症例29例に対して, 気管支塞栓術として経気管支鏡的オキシセル綿充填術を施行した。29例中26例に, また緊急例23例中21例に十分な止血効果を得た。トロンビン注入療法無効例7例に対しても全例に有効であった。合併症として発熱, 閉塞性肺炎, 過換気症候群を認めたが, 重篤化した例はなく十分にコントロール可能であった。本法は喀血の緊急処置として極めて有用であり, 積極的に用いるべき方法と考えられる。
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© 1993 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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