気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
進行肺癌に対するレーザー治療の適応と限界 : PDT vs Nd-YAG レーザー治療(気道狭窄の治療の新展開)(第 16 回日本気管支学会総会特集号)
奥仲 哲弥加藤 治文小中 千守河手 典彦山本 秀樹日吉 利光島谷 英明河野 貴文勝海 東一郎原田 匡彦山本 豊渋谷 洋岡田 真也
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 15 巻 8 号 p. 733-737

詳細
抄録
光線力学的治療法(PDT)は早期肺癌に対する根治的療法として確立されているが, 今回腫瘍性気管支閉塞, あるいは高度狭窄を有する進行肺癌に対するPDTの効果および有効性について, Nd-YAGレーザー治療との比較検討を行なった。PDTを施行したのは, 手術不能例も含めた気管支鏡可視範囲内に腫瘍性病変を有するもの78例81病巣で, 開口効果は開口率50%以上を有効と判定した。一方, Nd-YAGレーザー治療を行ったのは187例187病巣で, 初期の目的を達成したものを有効と判定した。腫瘍局在部位別のPDTの開口効果は, 気管4病巣中3病巣(75%), 主気管支22病巣中16病巣(73%), 葉気管支36病巣中25病巣(69%), 区域気管支19病巣中17病巣(89%)で, 全体として81病巣中61病巣(75%)に開口が得られた。Nd-YAGレーザー治療における開口効果は, 気管-主気管支69病巣中64病巣(93%), 葉気管支-区域気管支108病巣中79病巣(73%)で全体では177病巣中143病巣(81%)であった。以上の結果より, Nd-YAGレーザーおよびステント挿入と平行して, 緊急性を要しない症例の気管, 気管支開口に対し, PDTは安全性が高く, 有効であることが示唆された。
著者関連情報
© 1993 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top