気管支学
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慢性呼吸不全における経気管酸素療法の有効性についての検討
緒方 賢一石畠 英昭服部 隆一林田 良三古賀 俊彦
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1995 年 17 巻 4 号 p. 333-339

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抄録

持続的酸素投与法として普及している経鼻酸素投与は, 鼻粘膜刺激や外観の問題などを有し, 呼吸困難の改善や満足なPaO_2を得られない症例も存在する。経気管酸素療法(Transtracheal Oxygen Therapy : TTO)は酸素投与するカテーテルを経皮的に気管内へ挿入する方法であり, 経鼻投与では満足の得られない症例に対する新しい酸素投与法として開発されてきた。我々は在宅酸素療法を施行している16例にTTOを導入した。TTOではPaO_2が経鼻投与に比し約1.4倍に上昇した。またPaO_2の上昇に伴い, 酸素流量を約44%減量できた。さらに1年を経過した症例においては, 呼吸数の減少と呼吸困難の軽減が認められた。TTOは経鼻投与では得られなかったPaO_2の上昇や呼吸困難の軽減をもたらす, 慢性呼吸不全に対する有用な酸素投与法である。

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© 1995 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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