気管支学
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BAI 施行後に気管気管支楔状切除と右上葉切除を施行した右上幹扁平上皮癌の 1 例
矢野 真荒井 他嘉司稲垣 敬三森田 敬知野村 友清伊藤 秀幸藤井 祐次山本 滋大河内 稔神 靖人
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1996 年 18 巻 2 号 p. 122-127

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抄録
症例は58歳の男性で, 検診にて右上肺野の異常陰影を指摘され, 他院にて右上幹入口部の扁平上皮癌および気管下部への転移と診断された。気管支動脈内注入療法(BAI)にて腫瘍の縮小を認めた後, 手術目的で当科転科となった。手術は転移部位を含めた気管下部右側壁から中間幹にかけての広範囲の気管気管支楔状切除と右上葉切除を行った。術後経過は良好で, 術後の気管支鏡では吻合部の狭窄は認めなかった。広範囲の楔状切除は狭窄や屈曲を起こすと言われているが, 本例は気管下部に比較的大きな吻合口が得られたことと, 右上葉切除後の右気管支の上方偏位による変形が楔状切除による屈曲に適合したために成功したと考えられた。また, BAI後, 右上幹周囲のリンパ節のみに腫瘍が残存したことは興味深いことであり, 今後の検討を要すると思われる。
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© 1996 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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